あるサイドエフェクトの話 ページ15
｢はぁ……｣
少女は1人、ため息をついていた。
｢ふわぁ……｣
欠伸と共に。
｢眠そうだね、とえ先輩｣
｢早朝の防衛任務だからね。なんで霧なんてあるのかなめんどくさい｣
｢そういえば霧だらけだな、前が見えない｣
白髪の少年はじっと道の先を見ようと目を細めるが、霧で何も見えないようだ。
｢そうか、それぐらい霧酷いのか。遊真、案内は私に任せてよ｣
とえ……什得と呼ばれた少女は、遠くを見渡す。
｢？ なんでとえ先輩が案内を？｣
遊真と呼ばれた少年は首を傾げた。
｢……サイドエフェクトがあるから。
超視覚ってやつね。
霧とか、暗い場所とか視界をもろ遮ってくるものを無効化できる。障害物が多い場所でもまぁ使えるんだけども…………｣
｢だけども？｣
｢結局、常人が頑張ったら見えるかな？
っていうものが簡単に見えるだけであって、
そんな超能力じみたものじゃあないし、夜の防衛任務とか霧の日の防衛任務でこき使われるから、あんまりいいもんじゃないね｣
彼女はやれやれと手を上げてみせた。
すると遊真が目の前を指さして彼女に問う。
｢じゃあこの霧は見えないのか｣
｢そうそう、理解が早くて助かる｣
そのまま少年少女は霧の奥へと進んでいった。
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作者名：宗 x他1人 | 作成日時：2021年2月15日 23時
