【佰拾陸】真夜中、迫る刃。※短め注意 ページ26
side無し
検査の為いつも通り入院した、その夜の事であった。
ぬろり、扉を音もなく開けて入ってくる黒い影が一つ。
ギシ、ギシと微かに板の間が揺れる。
しかし、それでもほとんど聞こえない為本人は余程の手練れ……いや必死なのだろう。
無音の空間によく響く、荒い息を発しているだけあって。
そして月光に照らされ鈍く光る────手首に傷が付いた手に握られた一本の小刀。
カーテンの隙間から細く月光が伸びる。
だんだんと広がっていくそれに映し出されたのは───紛れもなく、失踪したとして最近悪い意味で有名になっていた愛宮 桃音だった。
桃「こいつが、こいつが悪いのよ……杏寿郎を渡さないから…」
桃音は正気では無かった。
散々な思いをしたのだろうか、持ち前のメイクは可哀想な程にぐちゃぐちゃと崩れている。
小刀の行先は────無論、すよすよと小さく寝息を立てる杏華の喉元であった。
失脚に加え、隊からの信用だだ下がり。
追い詰められた桃音が選んだのは、杏華を秘密裏に消す強硬手段に出ること────それだけだった。
何度でも言うが、桃音は現在進行形で正気では無い。
その淀んだ瞳が向くのは、ただ幸せそうに寝息を立てる世界一憎んだ邪悪な女だけ。
奴は己が好く男を奪い、挙句自分に罪を被せ貶めたのだ(勿論桃音の主観)
絶対に許す訳にはいかない。
幸いにも、ここは検査入院用の一人部屋。
余程大きな音を立てなければ、誰かに侵入を察知される危険性も無い。
桃「もう、この世から消えてもらうしか無いわね…」
ギシ─────と杏華の腹辺りに跨り、真っ直ぐ喉元に鋭い刃を突き立てるポーズを取った。
それはまるで─────童話の、人魚姫の光景のよう。
桃「こいつを殺して……傷心する杏寿郎を慰めて私の物にするんだ……!!」
ビュッと、迷いなく刃を振り下ろす。
風切り音が響き─────紅い紅い、血飛沫が舞った。
□□□
私が悪いのは重々承知なんですけど、これ以前の話(壱とか弐とか参とか)の閲覧数が若干減ってきて悲しい(´・ω・`)
夏バテ中なので少し更新が遅め(一日の中で)ですが、どうか見捨てないで頂けると嬉しいです(´;ω;`)
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茨の谷の第二王子 - すみませんw私あんまり優しくないのでのところでどこぞの糞カラs((ン"ン"学園長を連想してしまったw誰か僕を○してくれw (2022年2月18日 15時) (レス) @page28 id: 436e3086c5 (このIDを非表示/違反報告)
花陰 桜(プロフ) - 澪凪さん» ありがとうございます(*´ω`*)無事に治って良かったです! (2021年8月13日 18時) (レス) id: f28080f41d (このIDを非表示/違反報告)
花陰 桜(プロフ) - さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き)さん» 私も大好きです…!皆で酒盛りして欲しかった……(願望) (2021年8月13日 18時) (レス) id: f28080f41d (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - 風邪治ってよかったです!!お体には気を付けてくださいね!<(_ _)> (2021年8月13日 16時) (レス) id: 279a2ef6a9 (このIDを非表示/違反報告)
さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き) - 家族思いで本当は優しい渋くてカッコいい槇寿郎さん素敵! (2021年8月13日 16時) (レス) id: c50ca7ded5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花陰 桜 | 作成日時:2021年7月24日 18時