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「〜綺麗っ!」
目の前に広がる景色にそう言って瞳を輝かせたAは、「連れてきてくれてありがとう、悟ー!」と嬉しそうに悟の腕に抱きつく。
「はは、そのうちAの家族も一緒に、どこかに行けたらいいね」
そう言って笑う悟がもはや神々しく見えて、Aは「どうしよう、今までで一番、悟がかっこよく見える…!」と褒めているようで若干失礼なような、そんな言葉を口にする。
「家族で旅行したことないんでしょ?沢山お土産買ってあげなよ」
「いいのっ?…本当に沢山買っちゃうよ?」
「結婚して僕の収入見たでしょ?好きなだけ買いなって」
悟の色んな意味で強すぎる言葉に、これからはもう少し悟に優しくしてあげようと、Aはやや不純とも言える動機でそう心に決める。
「じゃあ、これとこれと…」
大量の荷物持ちをさせても文句一つ言わない悟に、高専時代をよく知っているAは、その成長を感じると共に、悟に大切にされているという事実にどこかくすぐったい気持ちになる。
「そういえば悟って、いつから私のこと好きでいてくれたの?」
Aの突然の問いに立ち止まった悟は、気まずそうに瞬きを繰り返して「それ、聞いてどうするの?」とAを見つめる。
「え、いや…ただ気になっただけだったんだけど…」
「…初めからだよ」
それだけ言ってAから目を逸らした悟は、「キモいだろ。…でもこんなんでも、Aと傑が幸せになるのを本当に、…望んでた」と色んな感情に揺らめく瞳を瞬きで誤魔化す。
「…、」
「なんだよ。なんとか言えよ」
そう言ってくしゃりと表情を歪ませる悟に、Aは言葉には言い表せない沢山のものが込み上げてきて、ここが往来の通りであることも忘れて勢いよく悟に抱きつく。
「…っ、」
どうしてもっと早く、悟の気持ちに応えてあげなかったんだろう。
悟はこんなに真っ直ぐ、一途に、ただ私を愛してくれていたのに。
そう思うのと同時に、傑を好きになったことも、未練がましくも納得のいくまで傑を好きでい続けた時間も無駄じゃないと思えるのは全部悟のおかげなのだと、感謝の気持ちでいっぱいになる。
「悟っ、」
言葉にできない自分の気持ちが少しでも何か伝わればと、悟の胸ぐらを掴んで無理やり屈ませたAは、驚きに満ちた表情を浮かべる悟に唇を押し付けて、「大好きだよ!」と大袈裟なくらいに笑ってみせた。
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明珠(プロフ) - Mamiさん» ありがとうございます!良かったですー! (2022年6月3日 10時) (レス) id: 64ad7b0890 (このIDを非表示/違反報告)
Mami(プロフ) - 明珠さん» 全然面白いです! (2022年6月2日 16時) (レス) @page33 id: a64b7436ba (このIDを非表示/違反報告)
明珠(プロフ) - Mamiさん» こちらこそありがとうございます!なんとか行けるところまでいってみましたが、どうでしょうか、、?違うものが始まりそうになって強制終了させてしまったので、物足りないかもしれません、、 (2022年6月2日 16時) (レス) id: 64ad7b0890 (このIDを非表示/違反報告)
Mami(プロフ) - 明珠さん» レス返して頂きありがとうございます!例えば激しいキスとかはどうかなぁ…と思いまして…。そう言うのが嫌でしたら無理には言わないですが… (2022年5月31日 22時) (レス) @page31 id: a64b7436ba (このIDを非表示/違反報告)
明珠(プロフ) - Mamiさん» はじめまして!コメントありがとうございます。読解力がなくて申し訳ないですが、具体的にイチャイチャ至る所、というのはどういうことでしょうか、、?? (2022年5月31日 12時) (レス) id: 64ad7b0890 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:明珠 | 作成日時:2022年4月30日 23時