ep.09.「秘事の花園」 ページ7
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" うそつき "
そう言った彼の表情はどんなだっただろう。
七月・上旬 昼休み
『もう七月ぞ』
机に突っ伏しながらそう呟く。
その呟きは独り言として溢したものだったが、目の前にいる友人岸本裕子によって拾われた。
「だからなんや
こちとら部活漬けで疲れとるわ」
なんて愚痴を溢される。
最近は授業を聞くどころかスコアブックと睨めっこしているところしか見ていない。
(…これは部活している人間の宿命なのだろうか)
部活漬けの青春とはなんとも言い難い。
少女漫画ならそこから恋愛に発展して修羅場とかがあるのだろうが。
現実じゃ体育館の入り口前で堂々と別れ話をしている宮侑くらいしか見たことがない。
最終的には宮侑が平手打ちを食らって終わりである。
『なんと世知辛い…』
「は?」
今度宮侑になんかお供物をしてやろう。
「アンタ誰に手合わせてんねん」
『今は亡き宮侑に』
「え、アイツ死んだん。草」
『ねえ、裕子って青春してんの』
「ん?…ま、まあ。
ちょっと今勝負どころやけどな」
視線を逸らしながら、頬を掻く裕子に少し違和感を感じるも気のせいだと一蹴した。
頬杖に体勢を変えると、
『?…いいなぁ』
「え?」
『私も青春してえ』
「…」
『…』
…なにこの間。
「はあ!?」
『いやその時間差やめい』
裕子は勢いよく前のめりになったせいで咽せてしまい落ち着くため、苺ミルクを流し込んだ。
「あ、あああアンタ、この間
"青春とか仲間よりお金の方が大事なの"
…とか言ってたやんか!?!?」
眼孔をかっぴらきながら顔を間近にされながら言われると流石の私も引いてしまう。
つか、マジちけえ。
『私だって人肌寂しくなるっての』
「ま、まさか…」
おい。なんだその今にも世界が終わりそうな顔は。
心外だな。
「恋でもしたん!?」
『ちげーわ』
すると、その瞬間頭に重みが掛かった。
「じゃあ彼氏でも欲しくなったん」
その重みの原因は、
『…治くん重い』
「丁度ええとこに頭があってな」
『そこに山があったからみたいに言うな』
「(ホンマ、仲ええな…)
治、どっか行っとったん」
「ん。購買」
『へえ。なに買ったの?』
これ、と袋いっぱいに詰まったの中身を見せてくれる治くんに私はあ、と声を上げた。
『クリームパンだ』
「?好きなん」
『うん。美味しいよね』
自然と口角が上がった。
「ほなやるわ」
『…治くんが足りなくなるじゃん』
「まだあるし。ええよ」
「珍しいな、治が人に食べ物やるの」
「んー…餌付け?」
『キミにとって私はなんなのかな??』
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グリム(プロフ) - ヤバイ、凄く引き込まれる！次の投稿待ってます！ (1月30日 17時) (
レス) @page13 id: 66f712e8a8 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 切ない……切なすぎる…。更新ずっと待ってます‼ (10月15日 20時) (レス) @page13 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
百合(プロフ) - んごおああああああああ(叫び声)めためた切ない(´；ω；｀)次の投稿永遠に待ってます！ (6月18日 19時) (レス) @page13 id: 587110230b (このIDを非表示/違反報告)
めぃ(プロフ) - ほんとに最高です！主人公ちゃんへの感情移入凄すぎてしんどいです…(泣) (2022年7月24日 5時) (レス) id: 1ba6cd66fa (このIDを非表示/違反報告)
みるきーばなな(プロフ) - うはぁぁぁ、切ねぇぇぇ、、、ッッ！読みながら涙腺崩壊しそうになったぞおい、、（涙） (2022年7月15日 8時) (レス) @page13 id: bfe5e9257b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チェスター | 作成日時：2021年7月5日 12時
