4.勝手に見てばかり ページ4
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「始めろ!!」
教室中に響き渡るイビキの声は、睡眠中のAにも届いたようで。
あ、始まるのか…やっとか…
なんて寝起きの朦朧とした意識のまま問題用紙を表に返す。
全部で十問ある問題文全てに目を通してから、Aは天を仰いだ。
「(…何これ?)」
明らかに普通に生きてきた人間には解かせる気のない問題ばかりである。
こんなのサクラくらいしか解けないでしょ。
私は別に一問も解けなくても問題ないけど、ナルト達は…
見れば、少し前に座るナルトが頭を抱えている。
ああやっぱり…と苦笑したAは第一問の暗号文を勘で埋めてみた。
それ以外はもう勘でも答えが思いつかない。
第二問なんかはAの大の苦手である物理だ…と思う。
問題が難しすぎて分野の特定すら出来なかった。
これをストレートで解けるのはサクラだけだろう。
あとの人間が答案を埋めるなら、カンニングしか…
そこまで考えて初めて壁沿いに座る試験官達に気付く。
ノートに何か書き込んでいる、恐らくカンニング等不正行為を働いた者だ。
だがこれまで誰も退場になる様子はない。
そこがおかしいよなあ…普通カンニングなんて一発アウトのはず。
何回かは見逃されるのか、だがそうだったとして何故?
Aが首を傾げながら鉛筆をくるくる回していたその時、少し前の席…あれはナルトの斜め後ろくらいか、にクナイが飛んできた。
「うわぁ!!な…何の真似ですか!!」
そう叫ぶ受験者に試験官が「五回ミスった。てめーは失格だ」と返す。
道連れ不合格のルールで班員三人が退席するのを見届けながら、Aは「なるほどぉ」と小さく呟いた。
"ミスった"と言ったのだ、カンニングを五回も犯したことを。
ではミスっていないとはどういう状況なのか?
「(決まってる)」
カンニングがバレていない状況…あの試験官達に五回バレなければ不合格にはならない。
なるほどこれは、いかに上手く情報を収集するか、それを計る試験なのか。
Aは納得したように大きく頷いた。
そうと分かればやることは一つ。
両眼に意識を集中させ、耳を研ぎ澄ます。
狙うは…隣の席の忍が答えを書き出すのに合わせて自分も答案を埋めだした一つ前の席の男!
『この字のリズム・書き順・字画数からして…
なるほどね、答えは……根拠は…』
…音で答えを読み取っているのだろうか?
世の中には変わった忍が多いなあと、Aは手を動かしながら感心した。
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梢(プロフ) - 小柴紬さん» コメントありがとうございます!不定期にはなりますが頑張ります泣 (6月9日 18時) (レス) id: 6e099a7f91 (このIDを非表示/違反報告)
小柴紬 - 梢さん、更新頑張ってください! 面白くてどんどん読み進めてしまいました(笑) (2022年11月9日 19時) (レス) @page11 id: 2e1df96980 (このIDを非表示/違反報告)
梢(プロフ) - ゆらぎさん» コメントありがとうございます。不定期的にはなりますが頑張らせていただきます…! (2022年11月9日 12時) (レス) id: 6e099a7f91 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらぎ(プロフ) - 更新がんばってください! (2022年11月6日 19時) (レス) id: 8914fbacd3 (このIDを非表示/違反報告)
竜 - 成る程!よくわかりました。有り難うございます! (2022年10月26日 17時) (レス) id: 60e267bbe7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梢 | 作成日時:2022年10月14日 15時