4.勝手に見てばかり ページ22
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「ソイツの言う通り、仮にもヒナタ様の親友なんだろう…」
そうだ。
私はヒナタの親友で、親友のヒナタのことは守りたくて、傷ついて欲しくなくて。
傷つけた相手を許したくない。
「オレに怒りが湧いてこないのか?」
紅先生から聞こえた、読み取った思念…殺すつもりだったのか、って言ってた。
ネジくんは殺すつもりでヒナタをあんな目に合わせた?
じゃあ怒らないと。
あれ?でも私、ネジくんとも仲良くなりたいって思ってる。
そしたら怒れない?
いや、元々仲良しなのはヒナタの方だし、そっちを優先しないと…?
そう、そうだよね。
だってヒナタと私の間には…
「(…あれ?なんだっけ)」
なんだろう、よく分かんない…
死の森での仕返しだと言わんばかりにAの地雷を踏み抜くような言葉を羅列するネジ。
Aはその一言一言にダメージを受け、自身の感情の落としどころを見失ってしまっていた。
「わ わたし、は…」
怒ればいいの?
笑って許せばいいの?
感情、戻ってきたはずなのに。
今どの感情を優先させるべきなのか分からないや…
ネジくんはヒナタを殺そうとした。
けど私はネジくんとも仲良くしたくて…
でも親友のヒナタのこと傷つけたのは事実だから、怒らなきゃ。
ヒナタと私の間にはさ、さっき思い出してたみたいな思い出がたくさん…
「…A?」
ガクガクと震えるAに違和感を覚えたサクラがそっと肩を揺する。
それには気付かず、立っているのもやっとな様子で「あ、あれ…?」と呟いた。
どうしよう、ヒナタとのことが思い出せない。
なんで?これ、どうでもよくない。
要らなくないよ、不要じゃないのに…っ
大粒の涙が地面を濡らすのと同時についにAは膝をついてしまう。
「Aッ!」
Aを支えるようにして自身もしゃがみこんだサクラ。
「落ち着け…深呼吸だ」とAの頭にポンと手を置くカカシ。
だがAの様子は戻らず、荒い呼吸を繰り返しながらぼろぼろと涙は止まらない。
流石のネジも泣かれることは想定外だったのか、目を丸くして彼女を見つめていた。
やがて張り詰めていた糸が切れたかのように意識を失ったA。
「すみませんね…お騒がせして」
そんな彼女を俵抱きにして会場を後にしたカカシを見送ったナルトは、ヒナタの吐いた血にAの零した涙が落ちて出来た水溜まりを手ですくい上げた。
そのままグッと握り込んで拳をネジに突き出す。
「ぜってー 勝つ!!」
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梢(プロフ) - 小柴紬さん» コメントありがとうございます!不定期にはなりますが頑張ります泣 (6月9日 18時) (レス) id: 6e099a7f91 (このIDを非表示/違反報告)
小柴紬 - 梢さん、更新頑張ってください! 面白くてどんどん読み進めてしまいました(笑) (2022年11月9日 19時) (レス) @page11 id: 2e1df96980 (このIDを非表示/違反報告)
梢(プロフ) - ゆらぎさん» コメントありがとうございます。不定期的にはなりますが頑張らせていただきます…! (2022年11月9日 12時) (レス) id: 6e099a7f91 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらぎ(プロフ) - 更新がんばってください! (2022年11月6日 19時) (レス) id: 8914fbacd3 (このIDを非表示/違反報告)
竜 - 成る程!よくわかりました。有り難うございます! (2022年10月26日 17時) (レス) id: 60e267bbe7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梢 | 作成日時:2022年10月14日 15時