4.勝手に見てばかり ページ21
・
足に上手く力が入らない。
それでもなんとか頑張って、ゆっくりヒナタの元に近寄る。
そっと手をとると、真っ直ぐナルトを見つめていた目が少しだけこちらに向いた。
「ヒナ…、あ…」
声をかけようとした瞬間ヒナタは目を閉じた。
顔色が、悪いなんてもんじゃない。
顔も服も傷だらけで、血を吐くくらいってことはきっと内臓も酷いことになっているんだろう。
「(どうして…ヒナタ、嫌だよ)」
サスケに続いてヒナタまでこんな酷い目に合っちゃうの?
Aは目に涙を浮かべた。
その手があまりに力強くヒナタの手を握っているため、気付いたサクラが「A…」とそっと離れさせる。
呆然としたままサクラに肩に手を添えられ、Aはゆっくり立ち上がり、おぼつかない足でヒナタから距離をとった。
「所詮落ちこぼれは落ちこぼれだ…変われなどしない!」
「試してみるか…」
Aが生気を失ったようにぼっとしている背後では、ネジに煽られたナルトが立ち向かっていこうとするのをリーに止められている。
だがそんなことを気にも留めず、ただヒナタを見下ろすAをネジは一瞬だけ見やって、またすぐ目を逸らした。
その時、「グフッ!」とヒナタが大きく揺れてまた大量の血を吐いてしまう。
『心室細動を起こしている…
殺すつもりだったのか』
即座に彼女の胸に手を当てた担当上忍…紅を見たAはいきなり聞こえてきた言葉に困惑した。
ネジを睨む紅の視線を追って、本当に?とすがる思いで自身もそちらに目を向ける。
彼はそれに答えるように「オレを睨む間があったら…彼女をみた方がいいですよ」と小さく笑っていた。
「ッ…医療班は何してる!早く!!」
Aは肩で息をしながら、紅の切羽詰まった声により集まった医療忍者達に運ばれていくヒナタを見つめた。
「お前はコイツみたいに怒らないのか?…柊」
呆然としている中、ネジの言葉が自身に向けられたものだと気付き、「え」と小さく返すA。
彼がコイツ、と言いながら指さした方向にはナルトがいた。
ヒナタが運ばれていった方を見つめていたナルトだが、ネジの会話に巻き込まれたと気付き彼をキッと睨みつける。
「A!お前もなんとか言えってばよ…」
ヒナタの親友なんだろ、という台詞にAは言葉に詰まってしまった。
122人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
梢(プロフ) - 小柴紬さん» コメントありがとうございます!不定期にはなりますが頑張ります泣 (6月9日 18時) (レス) id: 6e099a7f91 (このIDを非表示/違反報告)
小柴紬 - 梢さん、更新頑張ってください! 面白くてどんどん読み進めてしまいました(笑) (2022年11月9日 19時) (レス) @page11 id: 2e1df96980 (このIDを非表示/違反報告)
梢(プロフ) - ゆらぎさん» コメントありがとうございます。不定期的にはなりますが頑張らせていただきます…! (2022年11月9日 12時) (レス) id: 6e099a7f91 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらぎ(プロフ) - 更新がんばってください! (2022年11月6日 19時) (レス) id: 8914fbacd3 (このIDを非表示/違反報告)
竜 - 成る程!よくわかりました。有り難うございます! (2022年10月26日 17時) (レス) id: 60e267bbe7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:梢 | 作成日時:2022年10月14日 15時