4.勝手に見てばかり ページ16
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「…悪かったな」
唐突に謝られ、Aは困惑しつつ「なにが？」と返す。
むしろ謝らなければいけないのはこちらの方なのだが。
「お前にも聞かれたくないこと、秘密にしときたいことあるだろ」
「そりゃ、あるっちゃあるけど…」
真面目なトーンで話すカカシを見るのは波の国での任務以来だったため、Aは少し気圧されてしまう。
「大事な教え子が二人も狙われてるなんて知っちゃ、な…」そう言いつつサスケに目をやるカカシの視線を追うように、Aもベッドに横たわる幼馴染に目を向ける。
呼吸器を付けられ、目は写輪眼の影響で出血でもしたのか布で覆われていた。
その痛々しい姿にAはきつく顔を歪める。
初めの頃、皆と一緒にいられたらそれでいいって言ったけど…それだけじゃ駄目だ。
大事な人が傷ついてるところなんかは出来れば見たくない。
「先生…私、皆のこと守れるようになりたいよ」
だって私、皆のこと大好きだ。
なんか記憶消えてきてるし無感動とか言われるし…後者は改善しつつあるけど。
それでも大好きな気持ちは変わらない。
皆と一緒にいたいし守りたい…
強くなりたいよ。
カカシは「…ああ」とだけ返事をして、Aの頭をそっと撫でた。
＊＊＊
「俺は試験会場に戻るが…Aも来るか？」
自身の言葉に少し考えるそぶりを見せてから、首を横に振った少女にカカシは「そうか」と頷く。
「興味あるけど…もうちょっとだけサスケ見てく」
最近様子がおかしかったから心配していたが、こう見ると年相応に映るものだ。
カカシは小さく安堵した。
しかしたまに見える、彼女の明るさの影に隠れた真っ黒いものはなんなのか。
「(Aからも目が離せないな…)」
ただ中忍試験を行っているだけなのに、心配ごとが絶えない。
ふう、と小さく息を漏らす。
「じゃ、行くから」そう言い残しボフン、と音を立てて病室から消えた。
「……」
しばらくの間、先程までカカシがいた場所をぼーっ眺めていたAだったが、目を伏せながらサスケに向き直る。
「…サスケ」
そっと手を握ってみた。
前にこの手に触れたのはいつのことだったか、もう思い出せないが想定していたよりも大きく、傷やマメだらけのそれに驚く。
手の甲をすり、と撫でてから目を閉じた。
「サスケが元気ないと、調子出ないよ…」
喧嘩ばっかりだけど、サスケだって私の大好きで大事な人なんだから。
早く目、覚ましてよ。
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梢(プロフ) - 小柴紬さん» コメントありがとうございます！不定期にはなりますが頑張ります泣 (6月9日 18時) (
レス) id: 6e099a7f91 (このIDを非表示/違反報告)
小柴紬 - 梢さん、更新頑張ってください！ 面白くてどんどん読み進めてしまいました（笑） (2022年11月9日 19時) (レス) @page11 id: 2e1df96980 (このIDを非表示/違反報告)
梢(プロフ) - ゆらぎさん» コメントありがとうございます。不定期的にはなりますが頑張らせていただきます…！ (2022年11月9日 12時) (レス) id: 6e099a7f91 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらぎ(プロフ) - 更新がんばってください！ (2022年11月6日 19時) (レス) id: 8914fbacd3 (このIDを非表示/違反報告)
竜 - 成る程!よくわかりました。有り難うございます！ (2022年10月26日 17時) (レス) id: 60e267bbe7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梢 | 作成日時：2022年10月14日 15時
