4.勝手に見てばかり ページ15
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「え、このピアス見たことあるって言ったの?」
「確かな記憶じゃないが…」
驚きのあまり聞き返してしまったけれど、これをもらった時のオビトさんの言葉を思い出すと、他の柊も付けていた可能性が高いものだ。
先生が見覚えある、と言うのもおかしな話じゃない。
柊は他人の思念や未練を読み取る度に自身の感情が失われていく。
このピアスはその代わりに不要な記憶を吸収してくれるものだ。
まあそんな説明をされたものだから、思練眼を扱う柊なら皆付けていたのかな、と考えるのが妥当だと思う。
…それで両親はどうだったかって考えた時、全く思い出せなくて焦ったわけだけど。
カカシ先生もきっと、そういう理由でピアスを付けている柊を過去に見かけたことがあったのだろう、うん。
そう結論づけて一人納得していたのも束の間。
カカシがすぅ、と目を細めながら「で、なんでお前はいきなりそんなの付けだしたの」なんて問うてきたのでAはやばい、と冷や汗をかいた。
「…なんで、って」
「部屋の整理でもしてて見つけたか」
「う、うん……」
「ふーん」と一見興味なさげに呟くカカシ。
Aは絶対信じてないだろこれ、と頭を抱えたくなった。
でもこれ以外になんて返せば?
そんな大層な理由思いつかないし、ましてや先生の死んだはずの同期からもらいましたよ〜と言うわけにもいかない。
病室に着いて、医療忍者にその身を預けられるサスケを目で追いながら考える。
「(あの人との繋がりを里に知られちゃ駄目だ)」
…なんで?
ふと、降って湧いた疑問にとらわれる。
相手は犯罪者だから?
彼が悪い人だと知りつつ関わりを持った自分も当然有罪だろう。
それが知られて、罰せられるのが嫌なのだろうか…多分違う。
そんなに保身的な人間ではないと自負している。
柊について教えてくれるから?
これは、少しはあると思う。
ついでに修行もつけてくれたから、きっと自分一人でやるよりも強くなれた。
でも、実際のところ、現実的に考えるならば。
多少責められるとしても里に突き出さないといけない。
きっと大変なことになるから。
柊のことだって、自力で探し出すのを放棄しているだけだ。
きっと探せば知りたいことのいくつかは知れる。
なら何故、こんなことを思うのか。
決まっている…情が湧いているのだ。
「(…なんだってあんなお面相手に)」
小さくため息をつく教え子を、カカシは神妙な面持ちでただじっと見つめていた。
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梢(プロフ) - 小柴紬さん» コメントありがとうございます!不定期にはなりますが頑張ります泣 (6月9日 18時) (レス) id: 6e099a7f91 (このIDを非表示/違反報告)
小柴紬 - 梢さん、更新頑張ってください! 面白くてどんどん読み進めてしまいました(笑) (2022年11月9日 19時) (レス) @page11 id: 2e1df96980 (このIDを非表示/違反報告)
梢(プロフ) - ゆらぎさん» コメントありがとうございます。不定期的にはなりますが頑張らせていただきます…! (2022年11月9日 12時) (レス) id: 6e099a7f91 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらぎ(プロフ) - 更新がんばってください! (2022年11月6日 19時) (レス) id: 8914fbacd3 (このIDを非表示/違反報告)
竜 - 成る程!よくわかりました。有り難うございます! (2022年10月26日 17時) (レス) id: 60e267bbe7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梢 | 作成日時:2022年10月14日 15時