4.勝手に見てばかり ページ2
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中忍選抜試験の推薦状を渡された翌日、Aを除いた第七班のメンバーはアカデミーに訪れていた。
「おい そこのお前…名乗れ」
先程幻術によって作られた結界を見抜いたからか、長髪の少年に声をかけられるサスケ。
またノーマークか、なんてガックシ項垂れるナルトを他所にサスケも言い返す。
「人に名を聞く時は自分から名乗るもんだぜ…」
二人の天才少年同士の邂逅は、こうしてクールに決まったはずだった。
そう、"はずだった"のだ。
「うちはサスケだよーん」
…Aの空気を読まない横槍が入るまでは。
「なっ、テメェ…」と文句を言いかけるサスケの口を両手で塞ぎながら「しーっ!静かにお願いします!!」と叫ぶA。
静かにした方がいいのはどう考えてもそちらでは?とその場にいる誰もが思ったことだろう。
***
「…アンタ変わってるのねえ」
呆れたように肩をすくめるお団子頭の少女に「お褒めに預かり光栄です」とA。
「褒めてない…てかなんで敬語?」「マイブーム」なんて意味のない会話を繰り広げる女子二人を見やり、長髪の少年…もとい日向ネジはため息をつきながら首を振った。
試験会場に向かうサスケ達をリーが追いかけて行ってしまってから、まだそう時間は経っていない。
ただ、あの時点で受付締切の三十分前を切っていたので不安かと問われれば不安である。
そもそも開始前に要らぬ騒ぎを起こさないで欲しい。
リーにしろ…この変わった少女にしろ。
そこまで考えて、ネジはその少女に目を向けた。
「お前もルーキーだよな」
「うん」
「班の奴らはどうした」
「うーん」
返答に詰まったように口を閉ざすも、すぐにスっと目を細め笑みを浮かべる少女の姿は、ネジの目には十分すぎるほど怪しく映る。
「…何者だ?」自然と身構えるネジに少女は「日向ネジ」と口にした。
「…それはオレだ」
「じゃあ田中太郎!」
「その顔で太郎はないわよ」
うーん、じゃあどんな名前がいいかなあ。
Aは小さく唸りながら腕を組む。
昨日、半分冗談のつもりで中忍試験に遊びに行っていいか聞いたところ、初めは"ふざけてんの?"なんて跳ね返されてしまった。
しかしその後条件付きで許可が出たのだ。
柊一族であるとバレないこと、どんな目に遭っても文句を言わないこと、その二つを条件に。
日向ネジとテンテンは自分とは初対面だ。
だが日向なら柊や思練眼について知っていてもおかしくない。
…さて、どうしたものか。
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梢(プロフ) - 小柴紬さん» コメントありがとうございます!不定期にはなりますが頑張ります泣 (6月9日 18時) (レス) id: 6e099a7f91 (このIDを非表示/違反報告)
小柴紬 - 梢さん、更新頑張ってください! 面白くてどんどん読み進めてしまいました(笑) (2022年11月9日 19時) (レス) @page11 id: 2e1df96980 (このIDを非表示/違反報告)
梢(プロフ) - ゆらぎさん» コメントありがとうございます。不定期的にはなりますが頑張らせていただきます…! (2022年11月9日 12時) (レス) id: 6e099a7f91 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらぎ(プロフ) - 更新がんばってください! (2022年11月6日 19時) (レス) id: 8914fbacd3 (このIDを非表示/違反報告)
竜 - 成る程!よくわかりました。有り難うございます! (2022年10月26日 17時) (レス) id: 60e267bbe7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梢 | 作成日時:2022年10月14日 15時