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9心算 ページ10

まだ、朝練を始める前だったから、
教室には誰もいない。


そう思って勢いよく開けた扉の先には人がいた。

大きな音を立てたはずなのに、一つもびっくりしない。

少し寒いのに、窓を大きく開けて。

何か歌を歌っていた。
高い、綺麗な歌。綺麗な声。

風でなびいた髪は、ぶりっ子とは違っていい香りがした。


気が済んだのか彼女は背伸びをして窓に手をかける。
大きな音を鳴らして閉めて、耳に手を遣った。

白いコード。

それを見て僕は、イヤフォンで聞こえてなかったのだと合点が行く。

なんて話しかければいいのか分からないし、
何も話すことなんてないから、
何も知らないように見てないように席に向かう。

……そういえば足音が聞こえない。
山口はあのまま朝練に出てるようだ。


人の気配に気付いてやっと彼女が振り返る。
そこで驚いたように目を見開いておはようと言う。

僕もおはようと小さく答えて、席に着いた。

隣の席にちょこんと彼女も座って確信めいて問いかける。


「何かあった?」


関係ない人に語るのはどうかと思った。
だけど、誰かに相談したかった。

いつまで経っても解決しない、どうすればいいかわからないこの件について。


誰でも、いいから。

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ピノ(プロフ) - 新作おめでとうございます(^_^)!!!!! つっきー!楽しみ! (2017年1月26日 20時) (レス) id: fd697664d4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:木戸 凛々 | 作成日時:2017年1月25日 18時

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