検索窓
今日:10 hit、昨日:4 hit、合計:13,222 hit

25心算 ページ26

休憩が終わると同時に菅原さんが帰ってきた。
その動きが明らかに不審で僕はよく目を光らせるようにした。


案の定、澤村さんが話しかけていた。


それに対しても汗をダラダラとこぼして大丈夫、と笑うだけ。


……明らかにおかしい。




記録をつけている長尾さんをチラと見ると目が合った。
理由はわからないけど心臓を直接掴まれたようなそんな気分に襲われた。
多分、何度も怖いと思える笑顔を見ているからだろうけど。


「スガー!もっと集中しろ!」

「わ、悪い大地……」


明らか過ぎるデショ。
ぶりっ子に何かを吹き込まれたんだろうか。


それにしては、長尾さんに対する敵意はない。
そして僕達への妨害もない。


吹き込まれたのに違いは無さそうだけど、あちら側についたわけでもなさそう。



そこまで思考をまとめると勢いよく扉が開く。
そこには今までどこに行っていたのだか、王様がそこに立っていた。

少し汗が滲んでいて髪がところどころ頬に張り付いている。

明らかにどっか走って来たんだろうね。



「影山遅いぞ!!どこ言ってたんだよ!」

「悪ぃ。用事を済ませてきた。」

「影山、遅かったな。練習始めろ。」

「っす。……あれ、もう1人は?」


もう1人、マネージャーのことだよね。
長尾さんの味方をしてくれるのだろうとは思うけど、あの単細胞バレー馬鹿になにか出来るの?


…割と、いや、めちゃくちゃ心配。



「おっ美緒の事かー?
今日は疲れてるみたいで保健室?だと思うぞー」

「うっす。喧嘩っすか?」



…なんとも王様らしい、場違いなそれでいてピンポイントな質問。
ピシリ、と音を立てて雰囲気が凍るけどそこは主将である澤村さんが言葉を紡ぐ。


「ああ、美緒が言うには長尾さんが仕事を押し付けてきて今日も遅れてきたって泣くからな…」



……()は、僕と目があった瞬間に逸らしてきた。


「?」


案の定、影山は首を傾げる。
この時点でぶりっ子の好感度が下がるのは少しつまらないけど、いい仕事をしてくれるようだ。


……え?



ツマラナイ?



…僕は何を考えてるんだろ、嫌なやつをここから追い出したいだけなのに、ツマラナイだなんて。
目を伏せてその考えもねじ伏せる。









「Aなら仕事押し付けたんじゃなくて、
俺が呼び出して話してただけっすよ。」









その、正真正銘の真実にまた空気が凍った気がした。

26心算→←24心算



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (20 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
42人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ピノ(プロフ) - 新作おめでとうございます(^_^)!!!!! つっきー!楽しみ! (2017年1月26日 20時) (レス) id: fd697664d4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:木戸 凛々 | 作成日時:2017年1月25日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。