【HQ!!】僕と彼女と心算と。 (ページ15)

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１４心算ページ15

松尾さんはちらと長尾さんを見たあと何も言わずに出ていってしまった。誤解を解くことは難しいと思ったのかもしれない。

澤村さんに促されてぶりっ子も教室に戻って行った。このまま帰って来なければいいのに。

ふたりが出ていって、部員に訝しげな視線を浴びる長尾さんは気にしないように澤村さんに口を開く。

「入部届けは出さなくていいですよね！」

「え？」

「正式に入るわけじゃありませんし、
ふたりが帰ってきたらもう辞めますし。」

普通のミーハー女なら言わないような言葉を吐いて長尾さんはスポドリのかごを持つ。

「えっと、マネージャーさん！
分量教えて貰ってもいいですか？」

「え？あ、うん。じゃあ行こっか。」

「シャチ！」

ふたりが仕事をしないと思っている人の曖昧な視線に気付かないふりをして、長尾さんはニコニコ笑いながら3人で水道へと駆けていく。

…長尾さんってすぐ人と馴染む。
僕には理解できない。
人と関わるなんて、面倒くさい……

ただでさえ、バレーバカを相手にしないといけないのに…

練習を再開すると先輩が言うから着替えてもない僕はゆっくりと着替える。

手を通して、一つため息。

『まず、マネージャーは4人も要らないデショ…』

着替え終わって山口の元へ向かうと菅原さんがすたすた近づいてきた。
山口にサーブでも教えるものだと思った。

「ねえねえ、月島ー！」

『え、僕ですか』

「うんうん、月島。さっきの女の子…長尾さんって何者？急に入ってきたけど…」

『ああ、山口がぶり……原田美緒のことを知らせに来てくれた時に一緒にいて、びっくりして付いてきただけだと思います。』

「へー、そうなのか。
つい月島の彼女だと思ったべ」

ニシシと笑う菅原さんにいつぞやの長尾さんが被ってため息が出た。

なんで最近そんなことばかり聞かれるの。
面倒くさい。

「ま、仕事ちゃんとしてくれればいいや」

ふと、呟かれた言葉は誰のことを指してるのか。

僕は目を逸らしてボールを取った。