5話 ページ8
Aの身体は長くは持たない。
錬金術で精密に造られた模製は脆い。
だから、月に一回『交換』をする。
アルベド「A。準備は出来たかい？」
A「分からない……けど、アルベドだから、大丈夫だわ。」
Aに向けて少し微笑み、睡眠導入剤をAへ渡した。
ボクから渡されたそれを少し見た後、水と一緒に喉へ流し込んだ。
仰向けになり、段々と瞼が閉じていくA。
アルベド「ごめん、A。」
ボクは剣を構え、Aの心臓めがけて一直線に刺した。
何千回とやってきたこの作業。
最初は罪悪感で嘔吐した。
でもやらなければ、Aは生きられない。
もう数えたくもない。Aの身体を造った数は、Aを殺した数と同じなのだから。
新しいAを撫でる。
……Aを救うために。
A「……あなたはまた私を殺したの」
アルベド「A、良かった。気分はどう？」
A「最悪。目覚めてしまったから。あなたが私を造らなければ私は死ねるのに。何故私を殺さないの？」
アルベド「記憶はやがて薄れる。キミはボクに恋をする。」
A「それはあなたの一人善がりじゃないの？」
アルベド「……。吟遊詩人が、待っている。」
A「ウェンティが……？分かったわ。」
A「アルベド、私はあなたが憎い。」
部屋を出ていくAの背中から聞こえた声は、キスで顔を赤らめていたあの少女とは、まったくの別人だった。
Aの記憶が全て戻る数時間は、決まって吟遊詩人に会いに行く。
彼女は元々、吟遊詩人に恋焦がれていた。
吟遊詩人のほうも、少なからず彼女に好意的だ。
記憶がないAはそれを全て忘れる。
だからボクは、何回も、何十回も、何千回も彼女に刷り込んだ。
『キミはボクに恋をしている』と。
……一人善がりでもなんでもいい。
彼女が生きてさえいれば。
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芋煮(プロフ) - mさん» ふぁっ！？コメント気づかなくてすみません😭ありがとうございます！透明感ある感じを目指したかったので嬉しいです笑 (6月21日 7時) (
レス) id: 59221f80a5 (このIDを非表示/違反報告)
m - 度々コメントすみません。二箇所ほど誤字衍字があると思いますが、笑って許してやってください…。長々と読みにくいコメント、失礼しました。 (6月11日 23時) (レス) @page10 id: 12017230f1 (このIDを非表示/違反報告)
m - コメントコメント失礼します。とっくに完結されていますが、完結おめでとうございます。最後まで、素晴らしく綺麗なお話でした！死ネタ切ない感じが凄く大好きなので、この作品に出会えたこと嬉しく思います。お疲れ様でした。 (6月11日 23時) (レス) @page10 id: 12017230f1 (このIDを非表示/違反報告)
芋煮(プロフ) - 1000hitありがとうございます！良ければコメント下さると作者が喜びます。 (5月14日 16時) (レス) id: 59221f80a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：芋煮 | 作成日時：2023年4月12日 0時
