正反対。5 ページ6
何気ない話をしていると、終業のチャイムが鳴った。
流石に続けて授業をサボる勇気のない私は立ち上がる。
当の先輩はチャイムが鳴ろうとお構い無しの様子で、此方へひらひらと手を振っていた。
まだサボる気らしい。
まだ話していたい名残惜しさを胸にしつつ、軽く会釈して 私はテラリウムドームへと向かうことにした。
________
特に寄り道もせず、実践授業の行われる場所へ到着すると やはり"彼女"に声を掛けられた。
「Aさん! 心配したんですよ、戻ってこないから…。」
自身が原因ということに微塵も気付く様子のない彼女。
口にしなければ伝わらないとは正にこの事。
勿論、これからも伝えるつもりは無いけれど。
これは話し合って解決するようなものではなく、気質や個性による問題だから。
配慮してくれなくていい、寧ろ彼女には私なんて視界の端にも入れず放っておいてほしい。
不自然に視線を逸らす私に、眉を潜める彼女。
「…?
Aさん?」
『うん、ごめんね。 ちょっと』
「はい、授業を始めますよ!」
どう伝えようか悩んでいると、始業のチャイムと共にハキハキとした声で教師が喋り始めた。
正直、助かった。
ほっと息を吐いて、教師の声へ耳を傾ける。
「本日はポケモンを一体捕獲の後、捕獲したポケモンに関するレポートを作成して頂きます。
一人で取り組むも良し、グループワークで行うのも構いません。適当行ったものは再提出としますので、皆真剣に挑むように!」
レポートかぁ。何を捕まえよう。
出来たら新しい毒ポケモンを捕まえたいんだけど…
周囲が次々とグループを組んでいくなか、一人で悩んでいると 声をかけられる。
「Aさん、私と組みませんか?
私、"かわいい"フェアリータイプのポケモンを捕まえてレポートを書きたいんです。」
Aさんとなら、私一人でやるより素敵なレポートが出来上がりそうですし
なんて、呑気な事を言っている。
残念なことに私は、誰とも…ましてや彼女となんて組む気は更々無く。
『お誘いありがとう、タロちゃん。
…でもやっぱり、私なんかじゃ力になれないと思うな…。』
ごめんね、他の人を探してね。
そう言いたかったのに。
「………!!
Aさん、そういうの…よくないと思います!」
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ショコラ - 面白いです。応援しています。 (2月9日 20時) (レス) id: 40eaef0114 (このIDを非表示/違反報告)
相 磯 。(プロフ) - めっちゃ好きです。陰ながら応援しています📣 (12月29日 13時) (レス) @page4 id: 72599e926c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゃまる。 | 作成日時:2023年12月27日 1時