【ポケモン】正反対の私と貴女。【SV】 (ページ5)

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正反対。4 ページ5

やって来たのはエントランスロビー。

心地のいい日差しと海風が頬を撫でる。

授業中なおかげか、人は居らず。しんとした雰囲気だ。

そんな様子も気にならないのか、先輩はベンチへと寝転がる。

着いて来たは良いものの、もしかして私の存在って邪魔になっているのでは…？

そんな心配事とは裏腹に、こちらへと視線を寄越す彼。

「さてはAよぅ、サボり方分かんねぇクチか？」

ベンチに座ろうとせず、オロオロと戸惑っていた私の姿が面白かったのかくつくつと笑っている。

笑われた事への恥ずかしさと、彼の笑顔が見られた事への嬉しさとで顔が熱い。

『し…仕方ないじゃないですか、事実サボった事なんて殆どありませんし。』

「そりゃそうか、お前さん真面目だもんなぁ。」

一通り笑った後に、ふと息を吐いて空気が変わる。

「で？そんな真面目ちゃんがサボりたぁ、一体何があったのよ？」

さも何でもない事のように問われるそれは、とても答えにくいもので。

彼の事は好きだし、尊敬もしているけど

やっぱり"そういうところ"は少し苦手だ。

何事も見透かされているような気がしてならなくて。

『何もありませんよ！

何となく、今日は授業に出たくない気分だっただけです。』

「ふーん。」

多分、嘘だってことはバレていると思う。

恐ろしいほどにこの人は踏み込んでほしくないラインを理解しているようだから。

「…ま、何を思い詰めてんのか知らねえけどよー。

ツバっさんだって相談くらいなら乗ってやれると思うし、

あんま、一人で抱え込むなよ？」

そう言って、わざわざ起き上がって

私の肩へぽん、と。男の人らしい手が乗せられる。

それが心底嬉しくて、とびきりの笑顔でこう告げた。

『ありがとうございます、先輩。』