86話_ ページ42
「今頃、ゼンたちはユリカナかぁ」
「Aさん、ゼン殿下今日は出ていられるんですか?」
「久しぶりの休暇だよ」
立ち話をするAの横には門番。
少し休憩、と言いながら手に持つ書類を置き、話し始めてから10分が経っていた。
「まぁ、楽しんでるだろ」
城下を見るAの目は優しく弧を描いていた。
_____ ____ ___ __ _
「白雪」
「はい」
ミツヒデ、木々、白雪は遠目にみえる劇を見ていた。
ふと声を出したのはミツヒデで、白雪はそちらに視線を向ける。
「ゼンに聞いたよ。
ゼンは、この先もきみと共にいられる道を行くって」
浮かぶのは、望んでいると言われたこと。剣を置き、跪き、手を差し伸べたゼンの姿。
そして、その手を取った自分の意思。
「白雪も、望んでいるんだよね?」
優しく微笑むゼンの側近。
出会ってから、それとなく支えてきてくれているだろうミツヒデと木々。
「望んでいます」
するりと出た言葉に、笑みを深くするミツヒデと、目を細めた木々。
「うん。頑張ろうな!俺達もいるからさ」
ひどく響いたその言葉。
”俺達も”
ふわりと吹いた風は赤い髪を隠すフードを少しだけ揺らす。
「はい!」
答えて振り返った先には、こちらを見るゼンとオビがいる。
踏み出した一歩は、小さくも大きい一歩になる。
_____ ____ ___ __ _
「多くないか、これ。朝からこの量か?」
5人掛けの机に5人が座り、所狭しと置かれた料理達。ついには料理運びを手伝っていたミツヒデが席に着いたとき、ゼンが言った。
「もう昼近いし、昼飯とばして夕方何か食えばいいだろう?」
「おまえ、そういうところ大雑把だよな…」
「カンパーイ!」
とビンのままお酒を持つのはオビで、すでにお酒飲んでるけど…と呆れ顔をするのは白雪だ。
それぞれが思い思いに料理に手をつけ始めた頃、昼間の食事処は賑わいを増していた。
「白雪はチーズ大丈夫だっけ?」
「はい!好きです」
「好き嫌いといえば、ゼンは昔牛乳が飲めなかったよなぁ」
ミツヒデが何気なく言った言葉に反応したのは2人。
「牛乳!?ぶははははははは!!」
涙目になりながらも笑うことをやめないオビと
「笑うな!!昔だ昔!」
言われた張本人であるゼンだった。
叩きつけられたカップを持ったまま、ゼンはミツヒデに顔を向ける。
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レイ(プロフ) - うさ丸さん» 更新遅くなってすみませんっ!コメントありがとうございます!なかなか続きをかけてないんですが、これは完結まで書きます!まだこういうふうに更新遅くなる日が続くと思いますがこれは書き続けたいと思っていますっ頑張りますっ!本当にありがとうございます!! (2016年5月9日 7時) (レス) id: af1a1b1ac0 (このIDを非表示/違反報告)
うさ丸 - え、消しちゃうんすか!? (2016年5月2日 22時) (レス) id: 93ddfd5243 (このIDを非表示/違反報告)
うさ丸 - 続き気になるっすね!更新頑張ってくださいっす! (2016年5月1日 21時) (レス) id: 93ddfd5243 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 御月刃さん» コメントもありがとうございます!自分なりにこれからも頑張ります!! (2015年9月13日 8時) (レス) id: af1a1b1ac0 (このIDを非表示/違反報告)
御月刃(プロフ) - 続編おめでとうございます!頑張ってください! (2015年9月12日 16時) (レス) id: 7136332561 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイ | 作成日時:2015年9月9日 12時