必要とされる者 【あんスタ×アイナナ】

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「おはよう、もう起き上がっても大丈夫なんだね」

『えっと…』


先ほどプリンの男の子にそーちゃん、と呼ばれていた男性が後ろに立っていた。

いつの間に来たのだろう。


「あぁ、驚かせちゃったかな？

　ごめんね、驚かせるつもりはなかったんだけれど。

　僕は逢坂壮五。よろしくね、Aちゃん」


そう言ってそっと手を差し出された。

よろしくお願いします、と彼の手を取ると、細くも骨ばんだ手が彼が男性なんだと再確認させられる。


『彼、すごい熱心ですね。

　踊りはそこまでではないかもしれない。
　
　でも、練習でも笑顔を絶やしてない…アイドルにもっとも必要なことが出来てる』



あ。

私、今また失礼なこと言った？


人を品定めするように見てしまう、私の悪い癖だ。

ごめんなさい、と謝ると彼は首を横に振った。


「ううん、Aちゃんの言ってることは正しいよ。

　厳しいことを言ってそうだけれど、この世界はそんなに甘くないからね。

　アイドルに詳しいけど、アイドルが好きなのかい？」


『その逆、です。

　少し、今の高校で…やってただけで』


なんで私こんな話してるんだろ。

話やすい人なのかな、壮五さん。


あまり失礼なことも言えないし、気を付けないと。

また傷つけて終わるだけになっちゃうんだ。



『ごめんなさい、忘れてください。

　お母さんに連絡入れてきますね』


壮五さんは少し驚いたような顔をしたけれど、引き止めはしなかった。

優しい人だな、と思いながら私は逃げるようにその場を後にした。


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