不器用なキミが好き (ページ3)

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2話ページ3

ピンポーン

夕方6時ごろ家のチャイムが鳴った。
今家には、私一人しかいない
極力人に会いたくないのに必然的に私が出ることになってしまった。
やっていたゲームの手を止め、インターフォンの画面を見てみる。
そこには私の学校の制服を着た見知らぬ男の子が立っていた。
手には大量のプリントの束が。
学校からの差金か・・
概ね先生がダメなら生徒を使ってというところだろう。
正直うんざりだ。

「なに？」

玄関の扉を少しだけ開けて様子を見てみる。

「あ、佐々木さんだよね？プリント先生に頼まれてさ」

少ししか開けていないのでこちらには声しか聞こえない。向こうにも私の姿は見えていないはずだ。
このまま、私の姿を見ずに帰ってもらいたいところだ。

「ありがと。そこ置いといて。じゃあ」

なるべく早く会話を終わらせたくてぶっきらぼうに返事をする。こんな時もっと可愛くありがとうと言えたら苦労しないのに。

そんなことを思いながら扉を閉めようとした時ガッと扉が開けられた。

「ちょ、何するのよ！」

いきなりのことでバランスを崩してしまい、私は外へと
飛び出してしまった。

「ごめん。自己紹介まだだったから、俺高尾和成。佐々木さんと同じクラスなんだ。よろしくな。」

扉が全部開いたことで男の子の全貌が明らかになる
センター分けの髪、どことなくチャラそうな見た目
肩には部活で使うのであろう大きなバックが掛けられていた。
きっと見た目通りコミュ力も高いんだろう。
学校でもムードメーカーとして地位を確立している子だと見受けられた。
所謂一軍ってやつだ。私が一番苦手とするタイプである。

「なに、それだけ？説得されても私学校には行かないから」

それだけ言ってすぐに扉を閉めようとする。
ジャージ姿だしあまり人には見られたく無い。
だが、それもすぐ阻止された。

「あ、じゃあ名前だけ！名前だけ教えて」

「・・・名簿見たら分かるでしょ」

冷たく言い放ち相手の力が緩んだところで思いっきり扉を閉める。
鍵を閉めて扉に寄りかかりずるずるとへたり込む。

ああ、またあんな言い方をしてしまった。
きっと嫌なやつだと思われただろう。
だけどもういい。会うこともないんだし。

とりあえず未クリアのゲームを進めねば。
そう思いそそくさと部屋へ戻っていった。