し、た、ぴ、 ページ7
放課後、今日はユースの招集があるので部活は休んだ。
と言ってもそれまでまだまだ時間あるし何をしよう。
すると目の前に3人の学ラン生が見えた。
外側の2人が内側の1人の肩に腕を回し、からかって2人で爆笑している。
「お前マジで女子みてーだな！」
「言い返せねえのかよ？」
私が内側の子ならブチ切れてるがその子はうんともすんとも言わずただ俯いていた。
泣いてるのかな。
それとも日常的に虐められすぎて言い返せないの？
どちらにしろ助けるべきだろう。
覚悟を決めて声をかけた。
『ねえ』
2人のいじめっ子はとても驚いた顔でこちらを振り返った。
『そういうのやめた方がいいよ。自分を強く見せてるつもりなら逆に恥ずかしい事になってるって気付いた方がいい。その制服ってあそこの中学校だよね。今私が学校に電話をかければ親にも直ぐに連絡行くと思うよ』
この間女の子に石を投げてた男子小学生には効いたが中学生はどうだろうか。
「･･･はあ？誰？」
流石に効かないか。
『え、制服見ればわかるでしょ。高校生だよ』
「てか俺らいじめてないけど」
「ね？三郎くん」
黒髪の彼は三郎くんって言うのか。
三郎くんはいじめっ子からの問いかけをシカトしてスタスタと歩いて行った。
『あ、ちょっと･･･』
「はー、マジでしけたわ。帰ろ」
「だりー。つまんねー」
いじめっ子達も親に連絡が行くのは困るようで少し声を震わせながら虚勢を張って帰って行った。
軽く2人を見送ったあと少し走って三郎くんを追いかける。
声をかけるより先に肩を叩けば三郎くんは肩を跳ねさせた。
『あ、驚かせてごめんね。大丈夫？』
三郎「大丈夫です。別にいじめられてた訳ではありませんがありがとうございました」
三郎くんはM字の前髪と可愛いアーモンドアイとは真逆の可愛くない返事をしてきた。
少しむかついたため先程思った事を率直に三郎くんにぶつけた。
『ねえ。なんで言い返さないの？』
彼もまさかいじめられた側が説教されるとは思っていなかったようで先程肩に手を置いた時とは比にならない程驚き、動きが止まった。
三郎「え？」
『だから、なんで言い返さないの？あんなんに絡まれて肩組まれて歩きづらくてさ。時間の無駄でしょ。自分を強く見せるためじゃなくて。動きやすくするためでいいから言い返しなよ』
依然として固まったまま彼は「はい」、とだけ発した。
あ、いきなり説教はさすがに失礼だったか。
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作者名：あn | 作成日時：2021年5月15日 22時
