〇〇しないと出られない血鬼術 肆

黒死牟と稽古【リクエスト】 ページ11

特殊設定、黒死牟が人間のふりをしています。



【稽古をしないと出られない部屋】



構えた竹刀が音をたてて風を切る。



隙もない、完璧な構え。これはきっと褒めてもらえる。



そう思って、この血鬼術に一緒に閉じ込められてた黒死牟さんを見る。



編み笠で顔は見えないが、その顔に笑みは見えない。



「……それが……お前の精一杯か……？」



『はいカチーン、怒った。もう怒った！』



怒りの勢いで竹刀を乱暴に振り下ろす。




そんな私を見かねてか、黒死牟さんが後ろから抱きしめるように私の手を握りしめ、正しく竹刀を持ち直させてくれる。


「ただ振るだけが……剣ではない。

呼吸を…合わせろ……」




言われた通りに刀を振る。



先ほどの乱暴な音とは違い透き通るような風を切る音に胸が躍る。



「その調子だ」


黒死牟さんの声が耳元で聞こえ、ハッとする。


今の体勢はまるで黒死牟さんに抱きしめられているようだ。

意識すると途端に恥ずかしくなりそろそろと距離を取る。


「……？どうした」

『いえ！？なんでも！？』


顔の前で手を振り、何事もないかのようにする。


邪念を払おうと再度稽古を再開する。



「……お前は……なぜ……鬼殺隊に入った……」


その問いかけに私は手を休めず答える。


『人を…いや、鬼を探してます。


私の兄。家族が鬼舞辻に襲われた時、兄だけ鬼にされた。


兄を……見つけるためには鬼殺隊になるのが1番だったので』



その私の答えに黒死牟さんがさらに問いかける。


「兄が好きか……？見つけて……どうする」


『人に戻せるなら戻します。


人を食ってたら、私が殺します

大切な人だから……自分の手で』


黒死牟さんの息を飲む音がした。


でもそれもほんの一瞬でまた稽古に戻る。


暫くすると扉が開く音がして2人で部屋を出る。


『ありがとうございました、またお会いできるといいですね。』


そう言って私は自分の屋敷へと帰る。


帰る時、後ろから「強いな」と言う声が聞こえて……
少し嬉しかった。

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