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17.死神ページ17

---No side---

死神:「死神と申します。」

二:「……は？」

男を睨みつける二宮は警戒態勢を崩すことなく、携帯をもった片手の指を動かそうとしている

死神:「誰かを呼んだところで、それは無意味ですよ。」

そういうや否や

男はパッと姿を消した

目を丸くし辺りを見回す二宮

死神:「ここですよ」

二宮がはっと声のした方へ顔を向けると

あろうことかカーテンの下がる棒の上に、男が清々しい顔で座って二宮を見下ろしていた
が、次の瞬間さっと二宮目掛けて飛び降りた

「うわっ」思わず声を上げその場に尻餅をついたが、衝撃のなさに二宮はそっと目を開けた

二:「え…」

二宮の身体には、男の身体が完全に重なっているのだが、重さどころか触れていることも感じられない
何より、男の身体に二宮の身体が通り抜けていた

目の前の男の顔が、ニッと悪戯気に笑った

死神:「どうです？お分かり頂けましたか？」

男は二宮から離れるとスッと姿勢良く立って言った

すると、固まっていた二宮は、ふ～っと息を吐き出した

二:「そういうことか…。おたく、幽霊だったの」

二宮は昔から霊感が人よりあった方で、感じたり時には見えたりすることもあった。
故に、幽霊など目に見えないものに対してある程度の許容量はあったのである

二:「あんまりはっきりみえたから、分かんなかったわ」

ふっと笑った二宮とは対照的に、男は少し眉間に皺を寄せていた

死神:「…確かに、貴方方は身体が無いものに対して全て幽霊だと決めつけておられる方が多いようですが、全てがそうではないのです。」

二宮は再び男に顔を向ける

二:「ほぅ…」

死神:「幽霊というのは、貴方方人間が、身体が滅び霊体となったものをいうのです。
しかし、この世界にいるのは、人間だけではないのです。ですから…」

男を見つめる二宮の顔は、少し強張っていたが、男は穏やかな表情をして言った

死神:「私は幽霊ではなく、死神なのです。」