繋ぐ (ページ13)

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13.また… ページ13

---A side---

実をかじったその瞬間、眩暈のようなふらつきを覚える

倒れる、そう思った次には

目の前にくろくんの顔があった

くろくんは、今まで見たことないような悲しい顔をしていた

力が入らず、くろくんの腕の中

精一杯笑顔をつくる

「くろくん、ありがとう…君がいてくれて、よかった。一人じゃ、寂しかったよ…」

？：「相葉さん…」

「ねぇ、最後に、聞きたいんだけど、なんで、ずっと

そばにいてくれたの？」

？：「…あなたのような人間は、とても貴重なお人なのです。」

「ふふ。なに、それ」

？：「だから…すこしでも長く、あなたをみていたかった…」

「くろくん…」

そしてくろくんは、潤ませた瞳に

キッと力を入れて、黒いハサミを

その手に持った

でも

こころなしか、その手が震えている

「くろくん、これは、俺がきめたことなんだ。くろくんは、くろくんの仕事、ちゃんとやっていいんだよ」

その瞬間、とうとうくろくんの潤んだ瞳から涙があふれて

頬にぽたっと、その涙が落ちた感触がした

初めてみた、くろくんの涙

繋がった視線

くろくんの綺麗な瞳を見つめながら、微笑むと

くろくんもぎこちなく、少し笑ってくれた

そして

？：「相葉さん…また、お会いしましょう。」

くろくんの声が聞こえた後

ジャキン…と

冷たい音が、耳の奥でこだました