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11.涙 ページ12
---A side---
あぁ、あの時と同じだ
でも、あの時は
俺の隣に、ニノがいた
鮮明に蘇ってくる記憶を辿る俺を乗せて
電車はある駅にとまった
？：「着きました。降りましょう」
“きさらぎ駅”
と書かれた駅
いつの間にか夜の闇が俺たちを包んでいて
駅を出て、草原と山が囲む線路をくろくんと歩く
歩いていると、今まで出会った人達の顔が次々と頭の中に浮かんできた
友人、先生、先輩、家族
嵐のみんな
大ちゃん
翔ちゃん
松潤
そして…
ニノ
何かがあふれるように、涙があとからあとから頬を伝う
そっと背中に伝わったぬくもり
くろくん…
くろくんは何も言わず、俺の背中をさすり続けてくれた
しばらく歩いていると、目の前にトンネルのような黒い闇が現れ
俺たちを飲み込んだ
あぁ、いよいよなんだ
でも
不思議と、涙はぴたりと止まり、心は静まり落ち着いていた
ふと、何かを感じて見てみると
少し離れたところに一本の木が立っていた
高さはなく、俺の身長とさほど変わらないその木に
真っ赤な色をしたりんごのような実がなっていた
この実だ…
その木に近づき、実に手を伸ばす
手の中に納まった赤い実を見つめ、一瞬ためらうも
心を決めて一口
小さくかじった
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作者名：さとこ | 作成日時：2018年8月8日 23時
