【名探偵コナン】冷たい時雨は暖かくなるか。 (ページ5)

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３話ページ5

「ここは、こうするんです」
「………」

スバルに教えてもらって、勉強をしてる。なんで……もう、嫌だ。

あたし勉強嫌いなのに。

「おわり?」
「いいえ」

段々と眠くなってきた。子供だからか?

これが勉強して、眠くなってきて、母親に怒られると言う恐怖で勉強を頑張る、小学生の気持ち……

「では、次はこれを」
「なに……これ……」

小学生の問題じゃないのは確かだった。簡単に言うと、大学レベル。

「眠そうなので、頭が冴えるように」
悪魔の笑み。

誰か、この悪魔から解放して。

「ただいま」
「あ」

ちょうど、シェリーが帰って来た。そこで、眼を見開いた。

あたしを見てじゃなく、スバルを見て。

「おかえり、シェリー」

と、名を呼んだあたしの口を、シェリーが塞いだ。……そう言えば、

偽名が灰原哀だから、そう呼べって言ってたっけ。

「アイ……スバルから、解放して」
「なに言ってるの?」

「阿笠さんから家庭教師を頼まれてね。勉強していたとこなんだ」

シェリーがその問題プリントを見る。そして、一言。

「昴さん。この子馬鹿だから、その問題は、わからないわよ」

と。

「そうですね。参宮さん。彼女が帰ってきましたし、遊んできてもいいですよ。また、明日この時間やりましょう」

「ありがと、スバル」
「こら。昴さんでしょ」

頭をこつんと優しく叩かれた。すると、スバルが聴いてきた。

「名前を聞いていて、疑問に思ったんですけど……」

「何に?」
「発音にです」

「彼女は昴さん。と言いますが、貴女はカタコト気味にスバルと言います。

もしや、ハーフですか?」

発音違ったのか。気付かなかった。凄く人のこと見てるんだ。きっと。

「母親がフランス人だから……」
「そうなんですね」

「あ、引き止めて、すいませんでした。存分に遊んできてください」

と言うのに、シェリーが私の手を握り、私を引き摺るように外へと連れ出す。

＿＿＿母親がフランス人だから……
その言葉を思い出し、

「どうなのか、あたしは真実は知らないけど」
小さく呟いた。

そのあとの、沖矢昴は

「………」

Aが解答した答案用紙を険しい顔で、睨むように見ていた。

そんな彼の頭に映る、女性の記憶。

＿＿＿＿ねぇ、＿＿＿＿。あたしは独りに慣れてしまったみたいだ。

＿＿大切な人が死んで、独りだと言う寂しさはないや。

「……なのに、俺を探すか」
彼は言う。苦しそうに、悔しそうに、

「もう、やめてくれ……!」