銀狼怪奇ファイル【金と銀】３ (ページ1)

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液体窒素とある装置を用意してセッティングした

銀狼「有機物は－160℃の液体に触れると凍結する。その結果、圧力や衝撃に脆い状態になってしまう。フリーズドライというものは一旦こうやって凍結させたものを乾燥させるものなんだ」

銀狼が装置の中に凍結させたリンゴを入れたのを確認してスイッチを押した

一瞬でミイラのようにリンゴはしょぼくれてしまった

銀狼「犯人はこの製法を利用して人間を一晩でミイラにしたんだ」

純平「ちくしょう！！」

純平先輩は怒りを露わにして近くにあった机を叩いた

純平「金狼の野郎、よくも力を…」

純平先輩は実験室を飛び出し、みんな先輩を追いかけて出て行った

私は追いかけるでもなく冷静な気持ちで色んなことを張り巡らせて考えていた

残っていた吉川さんがわんわん泣き出した

出ていこうとする銀狼の後を追うと振り返ったので私は立ち止まった

銀狼「お前が泣いたって力は帰ってきやしねぇ」

吉川「でも、私があの時力くんを一人にしなければ…」

銀狼「じゃあ勝手にしろ。このまま逃げて一生引きずるか力の仇を自分の手で打つのか。選ぶのはお前だ」

吉川「不破くん……」

吉川さんが気になって寄り添った

「…仇だなんて危険だよ」

吉川「…でも私は引きずりたくない」

「無茶しないで、誰も犠牲にしたくないの」

吉川「私は何としても仇を打つんだから」

「……」

私は何も言えずただ黙って肩をポンと叩いて銀狼の後を追った

追っては見たが姿がなかったので仕方がなく家に帰った

お姉ちゃんとおじさんが話しているのが聞こえた

冴子「力くんのミイラが部室で発見されたの。こうちゃん、自分のせいだって責め出して…。銀狼と入れ替わったの。お父さん、どうしたらいい？」

『今の彼の頭はマグマが吹き出す寸前の火山みたいなものだ。これ以上の人格の交代は非常に危険だ』

冴子「お父さん！今すぐこうちゃんの脳を手術して！！」

『冴子…お前には酷だが、銀狼くんの人格が表に出ている以上、銀狼くんしか救えないんだよ』

私は陰に隠れて聞いていて涙が出そうだった

冴子「私、いや！こうちゃんが、この世から居なくなるなんて絶対に嫌！」

『冴子…』

冴子「どうしてこうちゃんばっかりこんなに辛い目に会わなきゃならないのよ！」