【stpr】彦星の裏切り 【赤】

４２話 【そんなんだから】 ページ44

えっ…？




私が戸惑っていると「大丈夫だから」とるぅとくんは笑った




私は莉犬くんに振り返る、私達の会話は聞こえていなかったみたい




ゆっくり近付き、真っ直ぐ見つめる









『別れよう』









莉犬くん「えっ…？」




夏の風が私達を通り過ぎる




分かっていないようだからもう一回言った




『別れよう』




莉犬くんの瞳にみるみる涙目になる




莉犬くん「やだ…」




…！




莉犬くん「やだっ！別れたくないっ!!」




まだ謝ってくれないの？自分が悪いと思ってないの？




『女の子と仲良くしてなよっ!!私は……るぅとくんと付き合う!!』




莉犬「やだ…るぅとくんと付き合わないで…！Aは俺の…」




るぅとくん「あ〜あ」




…！突然るぅとくんが私と莉犬くんの間に立つ




るぅとくん「莉犬がそんなんだから、僕にAちゃんを取られちゃうんですよ？」




莉犬くん「……」




涙目で口を開け啞然とする莉犬くん




るぅとくん「行きましょう」




キュッ




るぅとくんが私の手を握り歩き始めた




莉犬くん「待って!!!行かないで!!!」




………




〜「お誕生日おめでとう、A」〜




『……ウゥ…』




〜「俺からの誕生日プレゼント」〜




『…ウゥ……ゥ…』




歩く度に涙が出る




歩く度にまだ何も知らなかった幸せな時の事を思い出す




〜「日織さんが…Aさんが好きです、俺と…付き合って下さい！」〜




ギュ




まだこんなに未練たらたらで…左手はるぅとくんと繋いでるのに右手はネックレスを握ってて…




私はやっぱり…




莉犬くん「ごめんねっ…!!」




『…！』




足が止まった…やっと謝ってくれた…




るぅとくん「ほら、"大丈夫"だったでしょ？」




左手の温もりが消えた




『るぅとくん…』




るぅとくん「行っておいで」




るぅとくんは優しく私の背を押した




私は止まることなく莉犬くんの元に歩いた




ごめんね…ありがとうるぅとくん…




私は莉犬くんの前で足を止めた




莉犬くん「A…ごめん、ごめんなさい!!」




『………』




莉犬くん「俺ね…寂しかったの…」




『……？』




寂しい…？




莉犬くん「自分のせいで遠距離恋愛になったのに…Aに会えない寂しさを誰かに紛らわして、誤魔化して欲しかった」




だから莉犬くんは他の女の子といたの…？

４３話 【運命】→←４１話 【返事】

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