【stpr】彦星の裏切り 【赤】

３４話 【いらない】 ページ35

莉犬side

リビングがAが作業する音で満たされる




こんなに幸せで良いのかな…？




まさかなーくんがAを仕事に誘うとは思わなかった




『……？』




ふとスマホから視線を外して、作業するAを見る




抱きしめたくなる…




俺の作ったレモンソーダを大事に飲んでくれてる所とか見るとますます愛おしくなる




仕事…終わって欲しくないな…




ずっと此処にいて欲しい…




ブー




『…！』




突然スマホが振動して目線を戻す




LINEの通知が来ていてそのまま開く




送ってきたやつの名前を見て、ため息をつきながらリビングを出た




ーーーーー
部屋に入り電気を付けないまま、改めてメッセージに目を通す




『電話…？』




メッセージに"電話"という文字が見えた瞬間独特な着信音がなった




通話ボタンを押し耳に当てると、またキンキンした声が聞こえてくる




「あっもしもし〜？何でLINE返事くれないの〜？」




『今打とうとしてた』




「遅いの！既読無視されたかと思った〜！」




『部屋移動してたんだよ』




「何で？誰かいるの？」




『誰でも良くない？』




俺は会話するのが面倒になってきて、早く話を切り上げたかった




「ちょっと〜？そんな風に冷たくして良いの〜？私がいなくなって大変なのは莉犬でしょ？」




そう言われて気付いた




『別に大変じゃない』




「えっ…？」




だってAは此処にいる…




もうコイツに紛らわして貰う必要はないじゃん…




『もう寂しくならないから、今日でお終い』




「はっ!?どういう事!?私はこれからも莉犬の…」




『もういらないっ…！』




「なんで…？彼女は？寂しさは？莉犬の側に居られない彼女の方がいらないでしょ…!?」




『Aは、ずっと俺の側に居る…！」




「何で…？何でよ!!結局私は莉犬の救済措置なの？」




『そうだよ…寂しくならないからもういらない、最初にそう約束したじゃん』




〜「寂しさを紛らわすだけでも良いから、私を見て…！」〜




そう言ったでしょ？




「そんなのってないよ…酷い」




漫画のようにシクシクと泣く声が聞こえる




『ごめんね…今までありがとう』




ブチッ




俺はアイツの連絡先を消して部屋の扉を開けた




ガチャ…




A「…!!」




…！A…




『お仕事順調？』




絶対に帰さない…Aさえ居てくれれば…









おれはさびしくない…

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