第245話 ページ42
見舞いの波が去って、少し静かになった頃、再び扉が開いた。
「……やっぱり一人で来たんですね。銀時さん。」
銀「…一つだけ、言いたいことがある。」
「師匠のことですよね。何となくそんな気がしてました。」
銀時さんは近くの椅子に座ると、私の言葉に頷いた。
銀「……お前は、師匠に会わなくていいのか?」
「…え?」
銀「数年前から、会ってないんだろ。お前にとっちゃ、唯一の家族だ。会わなくていいのか?」
師匠と離れて、既に5年の月日は経った。
私にとっては、あの約束を最後に師匠とは再会していない。
「…そりゃ、会いたいですよ。
……でも、私は既に師匠は亡くなった者だと思ってましたから。
……今更どんな顔して会えばいいか分かりません。
それに、師匠は会う気はないんでしょう?」
銀「……あぁ。よく分かったな。」
「師匠のことですから。」
ヘラッと笑みを浮かべ、湧き上がってくるものを少し堪えた。
師匠が生きている。それだけでも、私は少し安心した。
でも、会えないのなら……仕方ないのだ。
銀「……ったく、お前はなんでそうやって、自分の気持ちを隠そうとするんだ?
……笑いたきゃ笑え、泣きたきゃ泣け。
はっきりしろよな。」
ポスッと私の頭に置かれた手は、少し暖かく感じた。
「っ……あ、あれ……なんでかな……私は、別に泣きたいわけじゃ……」
銀「…それでいいんだよ。お前は、もう泣いていい。
それでお前を怒るやつも、無視するやつもいない。好きなだけ、泣け。」
「……ぅ……すみませ…、少しだけ、甘えさせてください……」
銀「おーおー、好きなだけ甘えとけ。ちゃんと依頼金は貰うけどな。」
「……そこは、少しかっこよく言って欲しかったですけど……」
5人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Rukapyon | 作成日時:2023年11月10日 18時