第243話 ページ40
土「それで、近藤さん。あいつの事はどうするんだ。」
検査と休養のため、数日ほど入院することになったA。
その病室の前で、土方と近藤はこれからのことについて話していた。
立花Aは、幕府を裏切った九条家の娘。
そして、攘夷志士の義理の妹。
どちらにせよ、真選組にいることが可能な立場ではない。
近「……元々、Aちゃんがとっつぁんの連れてきた子だったってのは覚えてるよな。」
土「あの時の記憶は嫌でも覚えてるよ。」
土方は、煙草の煙は吐きながら、憂鬱そうに返事をした。
近「…とっつぁんから聞いたところ、Aちゃんの素性は、とっつぁんが全部隠してたと。
だから、このことを周りに漏らすやつがいなければ、Aちゃんはまだ訳アリの女の子として、真選組に残すことは出来る。」
土「……」
近「トシは、どうしたい？」
土「……元々、真選組は女人禁制。
それだけで、あいつが真選組に入れる理由はない。」
……だが、と土方の言葉は続いた。
土「あいつの真選組での功績は大きい。
隊士の信頼だってある。
……解雇する理由はねぇだろ。」
近「……そうか。なら、Aちゃんはこれからも真選組総隊長として、俺たちの仲間だな。」
沖「……土方さん、いい加減素直になったらどうですかィ？」
今の今まで、珍しく口を挟まずに黙って聞いていた沖田は、話の終わりにそう口を開いた。
土「…あ？素直にってなんだ。」
沖「まさか、気がついてないんですかィ？
…呆れやした。
Aさんにやたら過保護な理由、自分で気がつくまでよく考えてみてくだせぇよ。」
と言って、沖田はAの病室へと入っていった。
土「…なんだ、あいつ？」
近「(ほんとにわかってないんだなぁ……トシ)
まぁまぁ、総悟も色々と言いたいんだろう。
トシもAちゃんと話したいことあるだろうし、俺は先に戻ってるな。」
と、1人残された土方は少し考えているものの、その答えに辿り着くのはもう少し先のこと。
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作者名：Rukapyon | 作成日時：2023年11月10日 18時
