第235話 ページ32
「そう簡単に抜け出せるような部屋じゃなさそうだね。」
ガチャガチャとドアノブを動かすも、開く気配はない。
唯一見える窓も格子付きだ。
「刀があれば…叩き切れないこともなかったんだけど…」
ま、武器を取らないような真似はしないか…
いつも忍ばせてる短剣もご丁寧に取られてると来た。
「…せめて、別れぐらいは伝えたかったけど…」
壁にもたれかかり、ぼーっと外を眺めて呟いた。
真選組にはもう3年近くいる。
別れを伝えるぐらいの筋は通すべきだった。
勝手にいなくなって、そして次会うときは敵同士。
「…ごめん、みんな。」
そう呟いた瞬間、ドッカーン!!!!!という音が響きわたり、船が揺れた。
びっくりして、窓からチラリと外を覗いた。
土「おい、総悟!!お前、無闇矢鱈に撃つんじゃねぇ!!巻き込まれたらどうすんだ!!」
沖「大丈夫でさァ、Aさんは生命力の塊なんで、瓦礫の中だろうと這い出てきますぜィ」
山「沖田隊長は、総長のことなんだと思ってるんですか……」
近「Aちゃんを返してもらう!!俺たちの総長を!!」
私は段々と力が抜けていくのと同時に深いため息がこぼれた。
「そういえば…こういう人達だったなぁ……」
通常テンションの彼らを目の前に、私はそう微かに笑った。
5人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Rukapyon | 作成日時:2023年11月10日 18時