第215話 ページ12
「……」
靴は脱がずにそのまま上がり込み、すぐにしゃがんで床を見た。
「……血痕、10年前の事件なのにここまで……」
べっとりとついている血痕は乾き切り、もう取れないだろう。
さすがに……これは、遺体がない方がおかしい。
そのまま突き当たりの部屋に入った。
「……!」
書斎風の部屋では棚がなぎ倒され、くすんだ紙やら、ボロボロの本などが散乱していた。
相当な揉み合いがあったのだろう。
目を細め、そう考えているとトントンと肩を叩かれた。
銀「こっち来い。」
銀時さんはその隣の部屋を指さした。
その部屋に入ると、こっちは本邸と変わらないぐらいで全く荒らされていなかった。
手入れされていないのでかなり埃っぽいがそれぐらいだ。
「なんでここは……」
ざっと見たところ、ここの屋敷は本邸よりは小さい。
部屋数は半分以下。
その中でここだけは綺麗だった。
「気味悪いな……」
血痕があるのに、人が逃げた跡がない。
明らかに怪しいその屋敷を見て回っていると、ひとつの部屋に落ちていた紙が目に入った。
「……これって、」
なにかの契約書。
九条家の当主の名前と取引相手なのだろう相手の名前。
そして契約内容を見て、私はぼーぜんと立ち尽くした。
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作者名:Rukapyon | 作成日時:2023年11月10日 18時