2:真選組局中法度 ページ9
第百五十九訓 掟は破るためにこそある
「トシ、伊東先生から聞いたぞ。災難だったな。身体の方は大丈夫か」
局長室。向かい合って座る近藤と土方。
近藤の話を土方はただ無言で聞いている。
「…トシ。わかっちゃいると思うが俺達は武士なんぞと名乗っちゃいるが一皮むけば農民だのチンピラだの芋の集まりに過ぎん」
真選組は元を正せば地方から来た芋侍達の集まりだ。
「そんな俺達が死地において武士よりなお武士らしく己を奮い立たせるのはお前が生み出した厳しい掟"局中法度"の存在のおかげに他ならん」
四十五条にも及ぶ厳しい掟。それが隊士達の上でしっかりときいているのには破ったら切腹という重い罰と土方の存在にほかならない。
「わかるかトシ。…お前は隊士にとって理想の武士のうつし身だ。みんなお前を手本としている。皆お前を見ている」
鬼の副長。土方がそう称されるには己を律するその強さからかもしれない。
「俺が言えた義理じゃねーが士道に背くようなマネはしてくれるなよ」
近藤の話を黙って聞いていた土方はタバコに火をつけると口を開く。
「…大した野郎だ。あっという間に広まっちまったよ俺の醜態」
自嘲気味に土方は伊東にとって好機だろうと語らう。
「近藤さん。アンタ局長の座を奴に譲るつもりか。そうじゃなけりゃアンタとアイツ2人で真選組の頭やるってハラなのかね」
前々から土方は近藤が伊東を先生と呼ぶことが気に入らなかった。
伊東ははっきり言って危ない火種のようなものだ。
「近藤さん。頭が二つある蛇は一方の頭が腐って落ちるか、反目して真っ二つに身体を引き裂いちまうかどちらかだよ」
「トシ、俺は伊東先生は真選組に必要な男だと思っている」
尚も伊東の肩を持つ近藤に土方は元々開いている瞳孔をますます開く。
「俺は一度としてお前達を家来だと思ったことはねェ。士道の名の下、俺達ゃ五分の同志だ」
真選組を思う気持ちは2人とも変わらない。
「近藤さんあんたは何もわかっちゃいねェ!キレイ事だけじゃ組織は動か…」
そこまで言うと土方は体の向きを変えて局長室から飛び出して行く。
「トシぃぃぃぃ!?」
1人話の途中で局長室に取り残された近藤は驚いて大声で叫ぶ。
「やべぇもう始まっちまってたよ!」
その頃既に始まってしまっていた美少女戦士のアニメを見て愕然とする土方とそれをニヤリと笑顔覗く沖田の姿があった。
3:ちょっぴり利口で可愛い女中です♪→←真選組動乱篇 1:当たらなくても良い勘に限って当たるよね(本篇158話)
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光華 - とても面白いです更新頑張ってください応援してます (2019年8月1日 23時) (レス) id: e145b750ea (このIDを非表示/違反報告)
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