6:道場破り ページ7
ハァ…ハァ
肩で大きく息をする高杉。
それに涼しい顔で対峙する銀時。
そしてそれを囲うようにして見守る松下村塾の生徒達。
「やぁー!」
息を整えると高杉は再び銀時に挑む。
ここは松下村塾の道場。2人は剣道の勝負をしていた。
その様子を松下村塾の外からそっとAは伺っていた。
昼休みに神社に行っても姿はなく狐も姿を見ていないと言うのでまさかと思って来てみれば本当に居た。
「アイツは…何をしてるんだ」
"さぁ?"
そう答えるように狐は尻尾を揺らした。
.
.
.
負けたあとぶっ倒れた高杉を見て慌てて一人の生徒が誰かを呼びに行ったと思えば昨日の男の人が来て母屋の方へ運んで行った。
"心配?"
「するさ、友なのだから」
しかし外からだと姿は見えても二人のしているやり取りまでは聞こえない。少しもどかしく感じながらもバレないようにそっと会話を伺った。
「こっちが聞いてんだよ」
すると一際大きい声を出して高杉は男に向かってそう吠えた。
「私も聞きたいのです。侍ってなんですか?教えて貰えます?」
少しふざけた声音で問うと男は立ち上がって庭の方を向く。
微かにやり取りが聞こえるがやはり何を言っているのかは分からない。
「私はそうは思いません。武士道とは弱気己を律し、強き己に近づこうとする意志。自分なりの美意識にそい、精進するその志を指すのです。だから勉学に励み少しでも真っ当な人間になろうとする彼らも、少しでも強くなりたいとこんなところに道場破りに来た君も、私にとっては立派な侍なのです」
やり取りが先程まで聞こえなかったのが嘘のように唐突に鮮明に聞こえた男の言葉がAの胸に響く。
「例え氏も素性もしれなくても、例え守る主君も戦う剣を持たなくても。それぞれの武士道を胸に掲げ、それぞれの侍になることは出来る。そんな彼らを一人でも多く見届けるのがそう、私の掲げた武士道なのかも知れません」
そこまで聞き終えるといつから居たのか庭に立っている銀髪の少年とAは目が合ってしまった。
しまったと思いAは急いでその場を立ち去る。
「なんだアイツ…」
そんなAを銀時は不思議そうに見送った。
7:不器用なのはお互い様→←5:白髪の少年と吉田松陽という男
114人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
茉莉(プロフ) - 宇治さん» めちゃくちゃ返信遅くてすみません!宇治さん、ありがとうございます!! (2019年5月5日 22時) (レス) id: 51e720f33e (このIDを非表示/違反報告)
宇治(プロフ) - こんばんは、宇治です。女の子要素無しの夢主、良いじゃないですか…!!好きです。とても。更新頑張ってくださいね!応援してます! (2019年4月15日 0時) (レス) id: c046a70699 (このIDを非表示/違反報告)
茉莉(プロフ) - 赤蛮奇さん» ですよね!幼少期はみんな可愛いですけど高杉の可愛さは異常…!ありがとうございます (2019年4月4日 12時) (レス) id: 51e720f33e (このIDを非表示/違反報告)
赤蛮奇 - 幼少期高杉ヤバイですよね!アレはもう犯罪級ですよね!更新頑張ってください楽しみにしてます! (2019年4月3日 2時) (レス) id: 2a668a49bb (このIDを非表示/違反報告)
茉莉(プロフ) - (о´∀`о)さん» ありがとうございます! (2019年3月24日 19時) (レス) id: 51e720f33e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ