始まり6 ページ7
「そうだよ!!流石、紳士は違うね!!」
「ありがとうございます……。本当はあなたの言うとおり、僕も……いや、僕たちも出来れば悪魔を倒したくはないんですよ。
ただ、悪魔はほかの……あなたのような一般人まで傷つけてしまう。それによってまた新たな悲劇が繰り返される」
儚げにどこか遠くを見つめるように細めた瞳。私の方がおそらく年上だと思うけれど、この子の言葉の方がどこか重みがあった。
「あなたは、大切な人達が傷つくのを黙って見過ごしていられますか?」
優しいながらも、どこか悲しげな問いかけに私は俯いてしまうだけ。
こんなん言われたら、ムキになることも……泣くこともできないじゃない。
一瞬、いたたまれずに言葉を濁していた私はふと思い出したように叫んだ。
「――つか……どうなってんのこの世界は!?」
私は確か昨日ふつーに学校から家に帰ってきて……んで昨日の残りのご飯をチンして食べようとしたらワックスしたばっかの床に滑って
テレビの角に頭ぶつけただけなのに!!!!(もうこの段階でヤバいと思うけど…)
ぐるりと見渡す視界は少年と青年と森だけなんだけど、これが日本にあるような森って感じじゃなくてまるでヨーロッパの森って感じなのよ。
しかも、頭を打った後に急にここって……状況が私じゃなくても理解できない。
きっとアインシュタインせんせーでも理解不能な事態だ。
日本とは違った洋風な景色に目を細めながらパニックでパンク寸前な頭をどうにか動かそうと試みるが
流石に私の対応能力の高さでも、いきなりこんな世界に…しかもましてや身一つで帰る宛てすらないなんてどうしようと狼狽える。
でもどうしよう。この人達を頼るわけには……。
――この白髪ボーイはともかくとして・・・…あの黒髪美人と居たらいろんな意味でもたない!!
不安げな私を気遣ってか、白髪の少年は大丈夫と微笑んだ。
「僕の名前は、アレン・ウォーカーっていいます。こっちは、神田」
アレンが神田を指差すと神田はぶっきらぼうに鼻を鳴らす。
「フンッ。それより・・・…さっさといくぞ。俺たちの任務を忘れたわけじゃないだろうな?」
アレンを置いて神田と呼ばれた黒髪美人は森の奥の方に歩き出した。アレンも慌てて神田に叫ぶ。
「ちょっと!!レディを置いて行くんですか?」
遠く森で神田のほっといても死なんという声が響いた。
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:クロ | 作者ホームページ:http://wanderalice.dojin.com/
作成日時:2016年10月13日 13時