亡霊騒動勃発!?2 ページ24
しかし引っかかることがいくつか残る。
なぜ彼はわざわざ問題になっている湖に近づいたのか?そして、"俺たち"とはどういう意味だろう?
男の風貌から決めつけるのはよくないが怪しいことに違いはなく
目の前の神田なんかいつでも斬りかかれるように刀に手をかけている。
その様子にアレンは気づくと、アレン自身も疑念を抱いているかのような少し緊張した面持ちで
神田に目だけで武器を使用しないようにアイコンタクトを送った。
すぐにアレンは機転を利かせ、男に疑われないように話を引き出そうと交渉にとりかかる。
「とにかく、ここでは村の人たちの目も気になるので………僕らが泊まっている宿までご同行できますか?
湖について詳しく話を聞きたいので!!」
そして、半ば引きずるように男を宿に連行した。
………
……
「それで、何があったか落ちついて説明してくれますか?」
尋問のように椅子に男を座らせ、少年少女がそれを囲むように立つ。
アレンが気を利かせて白湯を手渡すと男がまだ震えたまま、ゆっくりと白湯を飲みながら一息はいた。
「お………俺はジョージだ。――俺は見ての通りホームレスみてぇなもんで……
いつもあの湖にはホームレス仲間のバリーと魚なんかを捕まえにいってたんだ。
あの周りには食べられる野草もいくつかあるしな」
男が落ち着かない様子で視線を落とす。
恐らく私たちの『なぜこんな時期に行ったのか』という呆れにも似た疑念を抱いた視線にあてられたからだろう。
「確かにあんたらの言いたいことは分かってるさ。俺らだって命は惜しいからな。
だが俺とバリーは最初はあんな都市伝説なんか信じてなかったんだ!!
俺たちは村でもつまはじきもん同士で、噂が出始めてからだってあの湖の近くの森に小さな小屋を建てて住んでたくらいだからな」
「え………ってことは今日まで住んでたんですか?あの近くで?」
「あ……あぁ。――いやっ、正確にはつい先日の婆さんがやられるまでだがな。
俺たちは必要な時以外はあまりここに帰らなかったこともあって
まさかあんな噂がたってるなんて知らなかったんだよ!!」
男がぎゅっと胸の前で噛みしめるように拳を握る。
その表情は後悔の念に苛まれているかのように苦痛な面持ちに歪んでいた。
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作者名:クロ | 作者ホームページ:http://wanderalice.dojin.com/
作成日時:2016年10月13日 13時