伝説に潜む闇1 ページ19
ゆっくりと体制を起こして、窓から差し込む朝の光の中で
私はゆっくりと涙をぬぐった。
何の夢見てたんだっけ?――昔の好きなアニメで死んだはずの押しキャラにあった?
ぼけーっと完全に稼働しない頭で、そういえば……と思い出したのがあの二人のこと。
二人が居たであろう場所に視線をうつすと、もう二人の姿はそこにはなかった。
あるのは、机の上に書き残したアレンと思われる几帳面そうな筆記体のメモ。
「どれどれ……英語なんて洋楽聴くくらいしかスキルないけど………あ、読めるわ」
まるで、英語の字幕がついた映画のように、文字を見ただけでどんなことが書いてあるか
母国語のように流れて来た。
「なんでもありだなぁ」
『今から生存者の女性に、神田と二人で聞き込みをしてきますね。
追伸:朝食はそちらに置いておきました』
朝から礼儀正しくて元気なアレンの声が聞こえてきそうな文章だ、と感心しつつも
私はなぜか、ちょっとだけ……どうせ何でもありな世界なら
死んだアニメの押しキャラに逢える世界の方が一億倍良かった、と
やけにリアルな朝の肌寒い空気を感じ身震いし、後悔にも似た感情で
とうに冷め切ったスープとパンを独りぼっちで頬張りながら思った。
伝説に潜む闇
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作者名:クロ | 作者ホームページ:http://wanderalice.dojin.com/
作成日時:2016年10月13日 13時