ハロー、ハワユ1 ページ13
ハロー、ハワユ
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目を覚ますと、まだ二人は綺麗な顔で寝ていた。少し悪戯心が沸いてくるも、油性マジックを持ってなかったので、チッと舌打ちしながら部屋を出て外の空気をすいに行こうとした。
命拾いしたな。――しかし、いつかこの悪戯を実行しよう読者さま。
そう心に誓いながら歩いていると、朝もやの中で誰かが立っている。
じぃっと思わず目を凝らしていると、あちらもこちらの視線に気づいたようで、よく分からないが近づいてきた。
何だか昨日の一件と同じようにメンドクサイ匂いがするのは気のせいかな。
「こんな所で何してんの……お嬢さん?」
艶めいた低音が耳に響く。ボサボサした髪をけだるそうにかき上げながら瓶底眼鏡をつけた男性がフレンドリーそうに尋ねてくる。
「朝のウォーキングデッド……ですかね〜♪」
「デッドって……それ死んでるじゃん♪」
クスクス笑う彼に私もつられて笑った。
この子ノリいいわ。ノリが分かる子大歓迎ですアタシ。
「ここらへんは意外と物騒らしいから、女の子一人だけで出歩いちゃいけないよ♪――って……あれ?でも、彼氏同伴だった?」
茶化すように指さされたのは、ローズクロスがバッチリ入ったぶかぶかなコート。そう、勝手にピーマン(神田)から拝借してきたのだ☆
「彼氏じゃないですよー。何かそこらへんに落ちてたので拝借しました〜♪」
一応、盗んだではなく落ちていたと誤魔化しておいたぜ。
しかし、あんな顔だけのDVしそうな男なんてご免だね。あいつに走るくらいならツインテールの可愛いチャイナガールに走った方がいいな。
――想像してニヤケていると、男性が苦笑しながら呟いた。
「なら……一般人か?」その瞳は呟きに反して、底の見えない眼鏡の奥で怪しく細まる。
「え?――何か?」
「いいや、何でもない。――おっ……あそこで呼んでるのお嬢さんの連れじゃない?」
彼の指さす方向に促されて頷くと、朝もやの向こうで何かが私の名前をしきりに呼んでいる。
チッと面倒くさそうに舌打ちをし、私はきびすを返して男性に手を振った。
「それでは、さようならノリの良いお兄さん!」
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作者名:クロ | 作者ホームページ:http://wanderalice.dojin.com/
作成日時:2016年10月13日 13時