半妖少女と蒼い蝶

第１８話 ページ20

Aside




黄蘭｢そいつは一応バク一族のもんやねんけど、猫の姿で産まれてきてしもてん｣


『一種の突然変異みたいな感じですか？』


黄蘭｢いや、ちゃんと理由はあんねんけど…
こいつの父親が猫一族の中で最も悪名高い化け猫の血をがっつり引いてたらしくて、バクに化けてバク一族の皇女……｣


『皇女……？！』


黄蘭｢の侍従と子を成して出来た子供がこいつやねん｣


『なんだ、皇女じゃなかったんですね』


黄蘭｢あったりまえや！バク一族の皇女はあんまし性格も面も良くないゆう噂たっとったしなぁ｣




まあ実際事実やってんけど


黄蘭さんはぼそっと小声でそう付け足す。
私はそっと目を逸らした。




黄蘭｢んで皇女の侍従っていまいち高くない身分っつーこともあり、現代でいう無期懲役みたいな罰を親子共に与えられて懲罰房にいれられたんやって｣


『ただバクに化けてた化け猫と子を成しただけなのに？』


黄蘭｢バク一族と化け猫らはだいぶ昔の抗争でいがみ合った事があって、それ以来バク一族が一方的に嫌っとんのや｣




一方的という言葉に、ふと疑問を感じた。





『なぜ化け猫はバク一族を嫌わないんですか？』


黄蘭｢抗争でいがみ合ったんつーのは、まぁバク一族とどっかの一族とのいがみ合いやってんけどバク一族の中から［ポンコツ］が出てきてなぁ｣


『ポンコツ？』


黄蘭｢まぁそのポンコツはバク一族に化けた化け猫やってんけど、その化け猫がまあポンコツでさ。
蓄えた食料を一晩で空にしたり、間違えて銃をバク一族の方に向けて撃ったりとかでバク一族は大損害。

んである時バク一族の一人がその化け猫の部屋を訪ねたら元の姿に戻った化け猫が呑気に寝てたって感じで、その化け猫は追放されてんけどバク一族はカンカンで……
んでその名残で未だにバク一族が一方的に化け猫らを恨んどるってわけ｣


『なるほど…でも親子共に懲罰房にいれられて無期懲役みたいな刑にされたのなら、何故今ここにいるんですか？』


黄蘭｢それは父母共にすっごいタフな人で力任せに抜け出してきただけ。めっちゃ簡単やろ？｣


『いやいや簡単ですけど！そんな簡単にいくものなんですか…』


黄蘭｢阿呆、簡単にいってなかったら今ここにこいつがおらんやろ
こいつはまだ幼かったから罪はなくなったけどこいつの父母は罪があるにもかかわらずまだ逃げとるからな｣


『へぇー…怪盗みたいなご両親ですね…』



私は少し感嘆した。

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