半妖少女と蒼い蝶

第１９話 ページ21

Aside







黄蘭｢そんな怪盗みたいな親から生まれたこいつは探偵やっとるんやから不思議やなぁ｣


『え、探偵さんなんですか？！じゃあ、ここは…』


黄蘭｢ん？ああ！ここは探偵事務所ちゃうで！｣





見事に遮られた。


でも、探偵事務所じゃないのなら…




『ここは一体何をやってる店なんですか？』


黄蘭｢ここはいわゆる《何でも屋》や！｣


『何でも屋？でも探偵さんなんですよね？それなら探偵事務所でも』


黄蘭｢阿呆、何でもやる言うた方が儲かるやろ？｣






そういいながら悪戯っ子のような、なんというか下衆な笑みを浮かべる。






黄蘭｢こいつは探偵、うちは戦闘要員、朱咲は｣


『ちょっ、ちょちょちょっと待ってください！戦闘要員？！』


黄蘭｢せやで？それがどうしたん？｣





黄蘭さんが、戦闘？


それ以前に、この平和な世界で戦闘なんて…



私は色々な思考が絡まり、もう何が何だか分からなくなってきた。



その時、突然聞いたことのない声が机の方から聞こえてきた。





？｢…うるさい、寝れない｣


黄蘭｢やっと起きたんか｣


？｢まだ２日しか寝てない｣


『あ、あの、黄蘭さん』


黄蘭｢ん？どうしたんや？｣


『この方、どなたでしょうか…』


黄蘭｢あぁ、さっき寝とった猫やで｣


『でもこの方は人間ですよね？』


黄蘭｢こいつは半分化け猫の血ぃ引いとるから人間と猫の姿持っとんねん｣


？｢ちょっと…勝手に個人情報流さないでくれる？｣






ふあぁ…と欠伸をして眠たそうに私の方に向く。






？｢…ていうか、あんた誰｣


黄蘭｢阿呆、人に名前聞く前にまずは自分の名前名乗りぃや｣





少し舌打ちをしてため息をつく猫さん。


寝起きからか、それとも元からなのか分からないがすごく気だるそうだ。





葵｢…雨竹、葵。｣


『かっ堅谷 Aです！よろしくお願いします、雨竹さん』


葵｢…あっそ……じゃあもう眠いし出てってくれる…｣





机に伏せながらそう言われ、少し呆気ない感じがする。






黄蘭｢ごめんなAちゃん、白のやつ四徹してて機嫌悪いねん｣







申し訳なさそうに手を合わせる黄蘭さん。


雨竹さんの方に目を向けると、もうすぅすぅと静かな寝息をたてて丸まっていた。






黄蘭｢雨竹さんとか呼びづらそうやし、白とか黒でええよ｣


『そういえば、黄蘭さんは葵さんなのに白とか黒って呼ぶんですね』


黄蘭｢そりゃあ、呼びづらいし分かりにくいしなぁ｣

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