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目の前の景色が、一瞬にして変わった。
先程まで聞こえていた水音は止んでいる。
目の前には木が生い茂り、フクロウの鳴き声がして。
はるか遠くの方に、明るい家々が見える。
どうやら、ここは山奥の開けた一角のようだ。

冷たい土の感触が、背から伝わる。
目の前にあるのは、扉間の顔。
その表情は、想像していた通り、険しいものだった。
手足を動かそうとして、彼に押さえつけられていることを知る。
180センチを超える青年にのしかかられているのだから、身動きなど取れるはずがない。

「なぜ出てきた」
「ごめんなさ、」

低く唸るような声に、反射的にか細い声が出た。
が、思春期特有の反抗心が顔を出してしまった。

「なぜ出てきたと訊いている」
「だって…だって、私、ずっとあそこに閉じ込められてたんだもん」

怖くて、身体が震える。
泣きたくなんかないのに、視界が歪んで、涙が溢れ出す。
手で覆いたくても、動かせない。
こんな顔、扉間になんか見せたくないのに。

「扉間の持ってきてくれるご飯は美味しいけど、でも毎日あの薄暗いところでじっとしてなきゃいけないんだもん…つまんないし、一人ぼっちで寂しいし」
「そんな理由で出てきたのか」
「そんな理由って何?私は死んでるから、何をしてもいいの?!適当に扱えばいいの?!勝手に蘇らせたくせに!」

ひと息で言ってしまってから、大きく呼吸する。
ぽろぽろと、大粒の涙が頬を伝う。
耳まで冷たい雫が伝ってきて、気持ち悪い。
一瞬、2人を静寂が包む。

「…私だって、長生きしたかった。人が殺し合う光景なんかより、綺麗な景色を見てみたかったの。沢山走り回って、自由に遊んでみたかったの。ちょっぴり、大人に反抗したりしてみたかったの…」

声が、どんどん弱々しくなっていった。
そう言いながら、でも扉間への申し訳なさも込み上げてきて。

「扉間…ごめんなさい…」

本当にいつぶりだろうか。
声をあげて赤ん坊のように泣いた。

「A」

涙で何も見えないが、何故か優しい扉間の声が降ってきた。

「とびら、ま…?」

そのまま。
ぎゅっと、彼の腕の中に包み込まれた。

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設定タグ:NARUTO , 千手扉間   
作品ジャンル:恋愛
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東雲(プロフ) - ifzwegvさん» 年単位の亀更新ですみません…コメントありがとうございます。無理のないペースで更新いたしますので、たまに覗いてみてくださいませ。 (4月10日 12時) (レス) id: 13c0e18287 (このIDを非表示/違反報告)
ifzwegv(プロフ) - 更新されてたー!! 当時から読んでいたのでとても嬉しいです。続きを気長に待ってます!! (4月1日 19時) (レス) @page40 id: e064c3839e (このIDを非表示/違反報告)
玉ねぎ - 続き気になります‼頑張ってください‼ (2022年12月18日 0時) (レス) @page29 id: 76ae9f90b3 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - 資格試験が今週でひと段落する予定ですので、終わったらまた2日に1回くらいのペースで更新します(願望) (2022年10月8日 17時) (レス) id: 7383fa8b56 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - 黒渦クレナさん» うわー!前作も読んでくださったんですね、ありがとうございます!今プロットを大幅に書き直しているところです。お楽しみに! (2019年5月26日 0時) (レス) id: 3a02b4e62c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:東雲 x他2人 | 作成日時:2018年8月23日 20時

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