【扉間夢】もう一度貴方に会うために

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扉間の怒った顔を想像し、私は震えあがっていた。
あの男は研究室で私を見る度に不機嫌そうな顔をする。
そもそも彼はプライドの高そうな男だ。
自分の術開発の失敗作であり、術の解除もできずに毎日食事を運んだり世話をしたりしなければならない相手など、そもそも見たくもないのだろう。

私に出来ることと言えば、扉間に笑いかけることと、食事を美味しそうに食べることくらいだ。
忍ではないから、術の開発の手助けをしてやることは出来ない。
今の情勢が詳しく分からない以上政治を手伝うことも出来ない。

そんな私が約束を破って外出し、あの長に見つかったとなれば…
私は今度こそ何らかの術で封印されるなり殺されるなりして、死後の世界へと戻されるに違いない。
それでは、それでは美味しい食べ物が食べられなくなるではないか！
他にもまだやりたいことだって沢山ある。
折角この世に舞い戻ってきたのだ、とにかくこうなっては扉間の手から逃げねばならない。


その時の私は幼稚で身勝手で。
自分の保身のためだけに、立ち上がって逃げ出そうとした。
この扉間という青年がいかに感知に長け、俊敏であるかなど想像もつかなかったのだ。

立ち上がろうとした瞬間、私は何者かによって、背後から羽交い締めにされたのであった。

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