37(しぼうシーンあり。閲覧注意) ページ38
二代目崩御の知らせが里中を動揺させたのは、それからたった数日後のことであった。
私は彼の最期に立ち会うことができなかった。
そして、私自身も、この世から旅立つことができなかったようだ。
忙しい合間を縫って、ミトが私の部屋を頻繁に訪れるようになった。
初代崩御後に私と扉間が足しげく通って彼女を励ましたことがあり、それを覚えていたのだろう。
ミトがいてくれる時間だけは、たわいのない会話をし、少しだけ気を紛らわすことができた。
あんなに好きだった食事の時間が、憂鬱なものになった。
食事が喉を通らない。
味がしない。
私は、一切の飲食をせずにぼうっと横になっているだけとなった。
それでも成仏はできず、一定までやせ細りはしたものの、それ以上体調が悪化することはなかった。
自害も、傷がすぐに塞がってしまい、できない。
残るは病気にでも感染することだろうかと考えたが、この術の本質を考えればそもそもなにかに罹患すること自体が不可能な気がして、諦めた。
そういえば、私はこの世に穢土転生されてからというもの、一度も体調を崩したことがなかった。
「A、少しでもいいから食べてください」
見かねたミトは、食事をもって私を訪ねるようになった。
痩せた身体が、少しずつ元へ戻っていく。
---
「Aは、二代目様に会いたいですか」
「うん。すぐにでも」
「そうですよね」
ミトが花瓶の花を手入れしながら、ゆっくりとうなずいた。
「私も、初代様にお会いしたいです」
私はその姿を眺めながら、温かいお茶をひと口飲んだ。
「ですが」
振り返ったミトと、目が合う。
「初代様は…柱間様は、私が悲しむことを、望んでいらっしゃらないと思うのです。Aにはとにかくしばらくは辛さに身を浸らせて、ご自身をいたわっていただきたいと思っています。でも少しずつ、前を向ける日がやってきます。その時が来たら、自分にできることに取り組んでみてください。そして、自分が楽しめることを、探してみてください」
ミトの言葉があたたかくて優しくて、また涙があふれてきた。
泣いてばかりで、情けない。
私はこんなにも、弱くなってしまった。
扉間が二代目に就任してから、ろくに彼と交流をしていなかったというのに。
ミトはそんな私を見て、ゆっくりと背中をさすってくれた。
大切な人を失った者同士にしかわからないものが、そこにはあった。
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東雲(プロフ) - ifzwegvさん» 年単位の亀更新ですみません…コメントありがとうございます。無理のないペースで更新いたしますので、たまに覗いてみてくださいませ。 (4月10日 12時) (
レス) id: 13c0e18287 (このIDを非表示/違反報告)
ifzwegv(プロフ) - 更新されてたー!! 当時から読んでいたのでとても嬉しいです。続きを気長に待ってます!! (4月1日 19時) (レス) @page40 id: e064c3839e (このIDを非表示/違反報告)
玉ねぎ - 続き気になります‼頑張ってください‼ (2022年12月18日 0時) (レス) @page29 id: 76ae9f90b3 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - 資格試験が今週でひと段落する予定ですので、終わったらまた2日に1回くらいのペースで更新します(願望) (2022年10月8日 17時) (レス) id: 7383fa8b56 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - 黒渦クレナさん» うわー！前作も読んでくださったんですね、ありがとうございます！今プロットを大幅に書き直しているところです。お楽しみに！ (2019年5月26日 0時) (レス) id: 3a02b4e62c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：東雲 x他2人 | 作成日時：2018年8月23日 20時
