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強い雨が、降っている。
手に持っている傘がしきりにぱらぱらと音を立てて雨をはじく。
どれくらい歩いただろうか。
移動手段を持たない私は、とにかく歩きながら、自分の一族があったであろう跡地を探して里の外の地をさまよい歩いていた。
木々は枯れ、地面はむき出しになっている。
傾いた家々はあるものの、人の気配はしない。
とても人が住めるような環境ではない。
少し歩いたところに、井戸が見えてきた。
昔の戦は1つひとつが何年にも及ぶ激しいもので、
同じ地で規模の大きな忍術がぶつかり合うことが長期間に及ぶと、
その土地の生態系や地形を大きく変えてしまうことがある。
このあたりに住んでいた私の一族は、どれほど飢えに苦しんだのだろうか。
ふと目をやると、岩の下に何か青い石が見えた。
近くで見るときらきらと光を反射している。
何かの装飾品だろうか。
「お前」
後ろから低い男の声がした。
振り向くと、赤い目をして大きな団扇を持った男が立っている。
恐怖が足元から脳天まで駆け巡り、体が固まってしまう。
思わず口から、大切な人の名前がこぼれた。
「と、びら、ま…」
「扉間?なるほど、お前が扉間の『大切な人』か」
マダラはにやりと笑うと、大きな鎌を構えた。
思わず私は、右手の甲に左手をかざした。
怖くなって、そのまま目をつぶる。
キーン、と金属がぶつかる音がする。
恐る恐る目を開けると、扉間がクナイでマダラの鎌を防いでいた。
「木遁・樹海降誕」
柱間の声とともに地面から大きな木が幾本も現れ、そのうちの一本が私の体をマダラから引き離すように運んでいく。
「火遁・豪華滅却」
「水遁・水陣壁」
マダラの口から広範囲に炎が広がり、それを扉間の水遁が消し止める。
柱間が印を組みなおすと、辺り一帯に広がっていた木々がからに成長し、着火した木を覆う。
「大丈夫か、A」
扉間は瞬身の術で私のもとへ飛んでくると、岩陰に私ごととばした。
「ねえ、あの男の人って」
「うちはマダラだ。…それよりA、ここで何をしていた?」
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東雲(プロフ) - ifzwegvさん» 年単位の亀更新ですみません…コメントありがとうございます。無理のないペースで更新いたしますので、たまに覗いてみてくださいませ。 (4月10日 12時) (レス) id: 13c0e18287 (このIDを非表示/違反報告)
ifzwegv(プロフ) - 更新されてたー!! 当時から読んでいたのでとても嬉しいです。続きを気長に待ってます!! (4月1日 19時) (レス) @page40 id: e064c3839e (このIDを非表示/違反報告)
玉ねぎ - 続き気になります‼頑張ってください‼ (2022年12月18日 0時) (レス) @page29 id: 76ae9f90b3 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - 資格試験が今週でひと段落する予定ですので、終わったらまた2日に1回くらいのペースで更新します(願望) (2022年10月8日 17時) (レス) id: 7383fa8b56 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - 黒渦クレナさん» うわー!前作も読んでくださったんですね、ありがとうございます!今プロットを大幅に書き直しているところです。お楽しみに! (2019年5月26日 0時) (レス) id: 3a02b4e62c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:東雲 x他2人 | 作成日時:2018年8月23日 20時