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勢いよく本を閉じると、そのまま懐へと本をしまう。
鼓動が、早くなる。
私は何かに急かされるように書庫を飛び出し、あてもなく走り回った。

忍の世界は、戦の世界。
忍同志が殺しあうことなど、朝起きて歯を磨くくらい日常的である。
私の愛するあの人だって、何十人何百人もの人間を葬った。
里のため子供たちの平和な未来のためには手段を選ばない人。
きっと、多くの人から恨みを買っているに違いない。
そんなことは、なにも扉間だけに限ったことではない。
人を殺める忍たちは、誰でもそうだ。

しかし、私の鼓動は鳴りやまない。
無機質に連ねられた名前。
死因も、一文のみ。
戦のなんらかの影響で亡くなった民間人たちが、この扱い。

私は真実を知る必要がある。
民間人たちの記述には限界がありそうだ。
現地へ行き、人の話を聞いてみれば何かがわかるかもしれない。
どんな所に住み、どんな暮らしをしていたのか。
私の家族たちは、一族はどんなだったか。
あの青年は、誰だったのか。

私は扉間の研究室へと駆け込んだ。

ーーー

「なぜだ、言え」

うちはマダラは、うちはの若者の首元を鷲掴みにし、大きく揺さぶりながら吠えるように怒鳴りつけた。

「もうあなたにはついていけない。みんな言っています!」

おびえながらも、若者は必死に言い返す。

「あなたのやり方も、思想も、みんなにはもう受け入れられません!」
「私は千手一族についていく!」
「私もです!」
「私も!」

手を挙げるうちはの若者たちを、マダラは赤く光る写輪眼で睨みつけた。
喉元をつかんでいた若者を、壁にたたきつけるように投げ捨てる。

「もういい。オレ一人で目的を達成する」
「無茶だ!」
「黙れ!千手につく人間には関係のないことだ」

マダラは吐き捨てるように言うと、踵を返した。

「イズナ様が生きていれば…」

そんな声を背に、マダラは暗闇へと消えていった。

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設定タグ:NARUTO , 千手扉間   
作品ジャンル:恋愛
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東雲(プロフ) - ifzwegvさん» 年単位の亀更新ですみません…コメントありがとうございます。無理のないペースで更新いたしますので、たまに覗いてみてくださいませ。 (4月10日 12時) (レス) id: 13c0e18287 (このIDを非表示/違反報告)
ifzwegv(プロフ) - 更新されてたー!! 当時から読んでいたのでとても嬉しいです。続きを気長に待ってます!! (4月1日 19時) (レス) @page40 id: e064c3839e (このIDを非表示/違反報告)
玉ねぎ - 続き気になります‼頑張ってください‼ (2022年12月18日 0時) (レス) @page29 id: 76ae9f90b3 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - 資格試験が今週でひと段落する予定ですので、終わったらまた2日に1回くらいのペースで更新します(願望) (2022年10月8日 17時) (レス) id: 7383fa8b56 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - 黒渦クレナさん» うわー!前作も読んでくださったんですね、ありがとうございます!今プロットを大幅に書き直しているところです。お楽しみに! (2019年5月26日 0時) (レス) id: 3a02b4e62c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:東雲 x他2人 | 作成日時:2018年8月23日 20時

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