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5年後。
「ははうえ!」
とてとてと走ってくる男の子。
男の子は一目散にミトに抱きつくと、ひらひらと紙を見せた。
「ご覧ください!満点です!」
後ろからもう一人走ってきた少年が、その男の子に追いついてにっこりとほほ笑んだ。
柱間とミトの長男と次男である。
「まあ、よくできましたね」
「すごいねえ。頑張ったんだね」
ミトが次男と長男をひと撫ですると、2人とも照れくさそうに笑って、きゃーきゃーと向こうの方へ走っていった。
「素敵な子供たちだね」
「ありがとう、A」
ミトは私の方へ居直ると、羊羹を切って私の皿へ取り分けてくれた。
「小さかったあの長男がこんなに大きくなって、次男まで生まれたんだね」
「ええ。戦は完全になくなったわけではないけれど、子供たちが戦に赴くことはなくなりました。こんなに喜ばしいことはありませんよ」
ミトの目はそれでも、遠くを見ている。
「結婚して、子を産んで育てる。きっと幸せなことなんでしょうね」
ミトの目が私の目をしかと捉える。
「私は幸せです。柱間様とも息子たちとも仲良く暮らしておりますし。でも…それでも、木遁を継ぐ子を産めとのプレッシャーはありますよ。柱間様に側室をとの声も上がっているようです」
羊羹を切りながら淡々とそう話す横顔が、寂しげである。
「木遁を使える忍は、本当に柱間だけなのかな」
「と、いうと?」
「過去にも、柱間ほどの強さはなくとも木遁を使える忍はいたんじゃないかと思うの」
「どうでしょう。私は聞いたことがありませんが」
私は顎に手を当てて少し考えてから、ミトに宣言した。
「私、少し調べてみる」
「あら…ありがとう」
「いいのいいの。ちょうど本でも読みたい気分だったし、何か資料がないか探しにいくね」
「くれぐれも気を付けてね。あなたの存在は千手一族以外にはまだ公表されていないのだし、あまり遠くへは行かないことよ」
「わかってる!」
に、と笑うと、羊羹を頬張って席を立った。
よし、まずは、火影邸の書庫に向かおう。
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東雲(プロフ) - ifzwegvさん» 年単位の亀更新ですみません…コメントありがとうございます。無理のないペースで更新いたしますので、たまに覗いてみてくださいませ。 (4月10日 12時) (レス) id: 13c0e18287 (このIDを非表示/違反報告)
ifzwegv(プロフ) - 更新されてたー!! 当時から読んでいたのでとても嬉しいです。続きを気長に待ってます!! (4月1日 19時) (レス) @page40 id: e064c3839e (このIDを非表示/違反報告)
玉ねぎ - 続き気になります‼頑張ってください‼ (2022年12月18日 0時) (レス) @page29 id: 76ae9f90b3 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - 資格試験が今週でひと段落する予定ですので、終わったらまた2日に1回くらいのペースで更新します(願望) (2022年10月8日 17時) (レス) id: 7383fa8b56 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - 黒渦クレナさん» うわー!前作も読んでくださったんですね、ありがとうございます!今プロットを大幅に書き直しているところです。お楽しみに! (2019年5月26日 0時) (レス) id: 3a02b4e62c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:東雲 x他2人 | 作成日時:2018年8月23日 20時