【扉間夢】もう一度貴方に会うために

20 ページ21

「ミト、ミト！」

私はあわててミトに駆け寄った。

「ご、ごめんなさい。あまりにも眠くて、力が入らなくて…」
「眠気？」
「そう、最近眠気がひどくって、ふらふらすることもよくあるの」
「それって、」

私だけの判断ではどうにもならない。
きちんと医師の判断を仰ぐべきだ。

「ミト、お医者さんに診てもらおう。もしかしたら妊娠かもしれない」

ミトも薄々そう思っていたのかもしれない。
唇をかんで少しだけ考えた後、彼女はゆっくりとうなずいた。

ーーー

「ミトが！妊娠！したんぞ！！」
「兄者、うるさいぞ」

医師の診断結果は、妊娠。
柱間はすっかりはしゃいで、ミトのお腹を撫でたり、一生懸命話しかけたりしている。

(この大事な時に…。あの方は喜んでくださるかしら。一族の後継ぎとしてではなく、私との子としての妊娠に)

ミトのそんな不安は、杞憂であったようだ。
最近は柱間も戦や作戦会議、一族の稽古等で多忙を極めていた。
たしかにミトからすれば不安だったのかもしれないが、傍から見ている分には十分に仲睦まじい夫婦である。

「子供ができるなんて、幸せぞ！」

にこにこと上機嫌な柱間に、思わず扉間の頬もゆるんでいた。

「どんな名前がいいかの」
「男の子だったら間のつくお名前にしたいです」
「子というより兄弟みたいだの」

ほほえましい会話をする柱間とミトを尻目に、扉間は私の方を見てさみしそうに笑った。

21→←19

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す