検索窓
今日:5 hit、昨日:11 hit、合計:23,107 hit

16 ページ17

「…と、この穢土転生の術は死者を蘇らせ、意のままに操ることができる。この術は今後の千手一族の戦法を大きく変える」

その集会は、夜に行われた。
戦に疲れているであろう千手の忍たちが、扉間の話に真剣に耳を傾けている。

「実は、術の完成前に穢土転生したAという者がいる」

私は緊張でカクカクとしながら、聴衆の前に姿を現した。
ザワザワと声がする。

「話を聞く限り、Aは恐らく我々よりもさらに先の時代の者だ。既に亡くなっている。Aは穢土転生された身であるが、術者のワシがどのように操作しても術が解けぬようだ。恐らくバグであろう」
「バグとはなんぞや」
「穢土転生として意思を縛ることは不可能のようだが、不死身という機能は健在だ。では、少し実演する」
「バグとはなんぞや」

話について来られない柱間を無視し、扉間は私に向かって刃を向けた。

「ではA、失礼する」

その言葉と共に、容赦なく刃が私の身体を貫く。
塵が宙を舞い、聴衆はおおっと声を上げた。
痛みは全くない。
私の身体を貫いた刃は扉間の持っている鞘に収められた。
塵がどんどん身体の中心に集まり、腹を修復する。

「と、このように一瞬にして回復する。こんな不死身の兵が味方につけば、我々は大いに有利となる」

あちこちから声が上がる。
感嘆する者、訝しむ者、反対する者。
しかしやがてその声は拍手となって集会所を包んだ。

やらなければ、やられる。
戦の世を生き抜くのに、手段は選んでいられない。

ーーー

「A」

集会の後で、扉間がこっそりと私を呼び出した。
晴れて公認の存在となった私は、縁側に座り、月明かりをぼーっと眺めていた。

「怖くはなかったか。痛くはなかったか」

皆の前で見せている厳格な扉間とは打って変わって、扉間は眉を寄せて私を心配する。

「大丈夫。これで千手の屋敷を好きに歩けるし、きっと戦の役にも立てるよ」

それを聞いた扉間が、私に手を伸ばした。
彼の逞しい腕が、私の身体を包み込む。
大きな手が、私を撫でる。

「ありがとう、A」

17→←15



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (68 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
75人がお気に入り
設定タグ:NARUTO , 千手扉間   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

東雲(プロフ) - ifzwegvさん» 年単位の亀更新ですみません…コメントありがとうございます。無理のないペースで更新いたしますので、たまに覗いてみてくださいませ。 (4月10日 12時) (レス) id: 13c0e18287 (このIDを非表示/違反報告)
ifzwegv(プロフ) - 更新されてたー!! 当時から読んでいたのでとても嬉しいです。続きを気長に待ってます!! (4月1日 19時) (レス) @page40 id: e064c3839e (このIDを非表示/違反報告)
玉ねぎ - 続き気になります‼頑張ってください‼ (2022年12月18日 0時) (レス) @page29 id: 76ae9f90b3 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - 資格試験が今週でひと段落する予定ですので、終わったらまた2日に1回くらいのペースで更新します(願望) (2022年10月8日 17時) (レス) id: 7383fa8b56 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - 黒渦クレナさん» うわー!前作も読んでくださったんですね、ありがとうございます!今プロットを大幅に書き直しているところです。お楽しみに! (2019年5月26日 0時) (レス) id: 3a02b4e62c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:東雲 x他2人 | 作成日時:2018年8月23日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。