検索窓
今日:7 hit、昨日:25 hit、合計:23,098 hit

15 ページ16

ある晴れた朝。
うだるような暑さで、つい目が覚めてしまった。
まだ日の上らないうちに、近くの林へ散歩に出かけた。

ここは千手一族の私有地であり、千手兄弟にのみ立ち入りの許されている休憩場所。
私が唯一、外に出ることのできる空間である。
胸いっぱいに外の空気を吸い込み、遠くに鳥のさえずりをきく。
夏の早朝は、心地いい。

背後に、人の気配を感じた気がした。
振り返ると、そこには青い甲冑を来た、銀髪の男が。

「扉間…」

私にしっぽがついていたら、犬のようにぶんぶんと振っていたことだろう。
扉間も表情を緩めながら、私の頭を撫でる。

「ただいま帰った、A」

大きな手の温度と質量を感じ、胸の奥があったかくなる。

「おかえり、扉間」
「これから着替えて報告をせねばな」
「今日は休めるの」
「ああ」

その言葉に、ほっとする。
今日は扉間とゆっくり話せる。

ーーー

「ご苦労だったぞ、扉間」

扉間の報告を聞いた柱間は苦々しい顔でそう告げた。

「それにしても…ついに完成したか」
「ああ。これで味方の兵力を大幅に増やすことができる。爆弾を仕込んで敵の陣地に送り込み、陣地もろとも爆破させることも可能だ」
「…」
「か、画期的な術ぞ。死人を操るというのは少し気が咎めるが…」

穢土転生の術。
生者を生贄に死人をそっくり蘇らせ、操る術。
本来ならば、相手の意思をも縛り、術者の思い通りに解除もできる。
その術が、ついに完成したのだ。
戦の多いこの世界で、この術は今後大いに役に立つはずだ。

「そこで、Aの了承を得られるなら、皆の前で一度説明をしたい。今後の戦法に大きく関わってくる術だからな。しかし、もしかしたら実演をするやもしれん。Aの存在をこれ以上隠し続けるのにも労力がかかる。無理強いをするつもりは全くないが、一度考えてみてはくれないだろうか」
「つまり、みんなの前で爆破されたりするかもしれない、と」
「ああ」

扉間は気遣うようにこちらを見ている。

「わかった。扉間やみんなの役に立てるなら、やるよ」

そうして、私は千手一族の前でお披露目されることとなった。

16→←14



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (68 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
75人がお気に入り
設定タグ:NARUTO , 千手扉間   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

東雲(プロフ) - ifzwegvさん» 年単位の亀更新ですみません…コメントありがとうございます。無理のないペースで更新いたしますので、たまに覗いてみてくださいませ。 (4月10日 12時) (レス) id: 13c0e18287 (このIDを非表示/違反報告)
ifzwegv(プロフ) - 更新されてたー!! 当時から読んでいたのでとても嬉しいです。続きを気長に待ってます!! (4月1日 19時) (レス) @page40 id: e064c3839e (このIDを非表示/違反報告)
玉ねぎ - 続き気になります‼頑張ってください‼ (2022年12月18日 0時) (レス) @page29 id: 76ae9f90b3 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - 資格試験が今週でひと段落する予定ですので、終わったらまた2日に1回くらいのペースで更新します(願望) (2022年10月8日 17時) (レス) id: 7383fa8b56 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - 黒渦クレナさん» うわー!前作も読んでくださったんですね、ありがとうございます!今プロットを大幅に書き直しているところです。お楽しみに! (2019年5月26日 0時) (レス) id: 3a02b4e62c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:東雲 x他2人 | 作成日時:2018年8月23日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。