七 ページ8
マダラ様は美しい方だとは思うけれど。
何となく、近寄り難いイメージがあった。
が、時折はにかんだように笑うそのお顔を見ていると、そんなイメージは消え去っていた。
不器用…なのかな。
マダラ様の横顔を見ていると、ふと扉間さんのことを思い出す。
マダラ様なら、ご存知だろうか。
｢あの、マダラ様｣
｢どうした｣
マダラ様が本から顔を上げ、不思議そうにこちらに視線を向けた。
｢あの…扉間さんは、お元気でしょうか｣
口にしてから、やはりマダラ様に言うのはまずかったかも、と後悔。
しかし、マダラ様は至って無難に、ああ、と頷いた。
｢昨日は急な会議があってな、その時に毎日ここの図書館に来ていることを聞いた｣
マダラ様の視線が本に戻り、ほっとしたのもつかの間、また黒い瞳が私を見上げる。
｢オレには様付けなのに、扉間にはさん付けなのだな。親しいのか｣
面白がるように、口角が少し上がっている。
｢い、いつもご利用いただいております、ので｣
しどろもどろになる私に、マダラ様はくすっと笑った。
｢さて、そろそろ帰るとしよう。この本を借りていく｣
｢かしこまりました｣
マダラ様の持っていらした本を受け取り、カウンターへ行こうと振り返ると。
その瞬間、私の視線は釘付けになり、呼吸が止まった。
視線の先には、静香先輩と談笑する扉間さんの姿。
視線を逸らしたいのに、逸らせない。
が、静香先輩が私の視線に気づいて、視線をこちらへ向ける。
互いの視線が、一瞬だけ、絡み合う。
私は咄嗟にマダラ様の方を振り返ったのだが、マダラ様は扉間さんの方を見たまま苦しそうに顔を歪めていた。
｢マダラ様…？大丈夫ですか｣
何と声を掛けていいか分からず、無難な言葉をかける。
マダラ様はすぐにいつもの無表情に戻ると、私のあとに続いてカウンターの方へと歩を進めた。
ーーー
ツバメの雛は、全身を使って必死にピーピーと鳴いている。
そのうちの一羽が、さらに身を乗り出して激しく鳴く。
その時、強い風がそのツバメの雛を攫って。
その雛は地面に叩きつけられた。
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K(プロフ) - あとがきを読んで泣いてしまいました...貴方様のお陰で、なんだか少し救われたような気持ちになりました。重たい感情で申し訳ないです...この作品を書いてくださってありがとうございます！！ (2021年3月30日 1時) (
レス) id: 29a0737890 (このIDを非表示/違反報告)
maho(プロフ) - 本当に素敵なお話でした！とても面白かったです！ (2020年8月5日 14時) (レス) id: ad2d13c9c0 (このIDを非表示/違反報告)
夜神 零彼 - もうなんか凄いですね！ 感動しました！最後のしまりが良かったです！ (2020年4月3日 17時) (レス) id: 84e498c4cd (このIDを非表示/違反報告)
如月 - おぉ！ありがとうございます！(*´∀｀*) (2019年1月18日 22時) (レス) id: 699e158105 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - 如月さん» ありがとうございます！なるほど、何か短いものを、思いついたら書いてみますね〜！ (2019年1月5日 22時) (レス) id: a22cf2b507 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：東雲 x他1人 | 作成日時：2018年5月14日 8時
